建築基準法 解釈と説明

立体自動車車庫の取扱い・自動車車庫の解釈
機械式立体自動車車庫(エレベー夕・スライド方式)
床部分は網目状になっており、車両はエレベーターで駐車部分まで搬送するタイプ
建築基準法上 建築物とみなす。(工作物ではない)
機械式自動車車庫
YES
屋根がある YES 建築物に該当
NO
高さ8m超え YES 建築物に該当(高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設)
NO
施行令第138条第3項第2号に該当 YES 工作物であり、法第48条の許可及び確認申請の対象
NO
工作物であるが、確認申請不要
機械式自動車車庫は具体的には、エレベーター・スライド式及び吊上式が考えられ、自走式立体自動車車庫は含まれない。自走式立体自動車車庫は建築物である。
関連告示 昭和50年4月1目建設省告示第644号
関連通達 昭和35年12月8目住指発第368号・昭和59年5月4日東住指発第143号
関係条文 法第2条
法第6条
法第48条
令第138条
 
自走式立体自動車車庫
床は網目状になっており、車両は自走して駐車部分へ進入するタイプ
建築基準法上 建築物とみなす。(工作物ではない)
国住指第2171号(平成16年12月6日)
載置式の一層二段等の自走式自動車車庫について(技術的助言)
いわゆる載置式の一層二段等の自走式自動車車庫においては、柱が基礎などに緊結していないことをもって土地に定着していないとし、一部業者が、建築基準法(以下「法」という。)の対象となる建築物ではないと主張、販売しているところである。また、平成5年8月30日に、横浜地方裁判所において、土地への定着性がないことを理由に、神奈川県川崎市に設置された載置式の一層二段自走式の自動車駐車設備について、工作物には該当するが建築物には該当しないとする判断を含む判決が出されている。

しかしながら、次の各号に該当する載置式の一層二段等の自走式自動車車庫については、土地に定着している建築物と解するのが常識的な判断であり、建築物の安全性や市街地の環境確保等の観点から、法の規制にかからしめることは当然のことである。
1 随時かつ任意に移動できる工作物でないこと。
2 駐車場の用途としての利用が継続的に行われること。
3 屋根及び柱又は壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)であ
ること。
兵庫県宝塚市におけるパチンコ店使用禁止取消請求事件の判決要約
事例 パチンコ店の経営者が、建築基準法に定める建築確認を受けないで、同店への来客用の駐車場を設置したことにつき、市長による同駐車場の使用禁止命令が適法とされた事例
神戸地方裁判所 平成17年7月20日判決
当事者
原告 X:有限会社(パチンコ店経営)
被告 Y:兵庫県宝塚市市長
請求 YがXに対してなした、駐車場の使用禁止命令の取り消し
認定 Xの請求棄却

事案の概要
Xは、パチンコ店への来客用として、建築基準法6条第1項所定の建築確認を受けずに駐車場(以下「本件駐車場」という)を設置した。
本件駐車場は、鉄骨造で屋根や柱もある2層3段式の構造をした自走式立体駐車場であり、自動車310台を格納可能な載置式工作物架台であって、ベースプレートに固定された81本の柱で支えられており、車路であるスロープ部分はコンクリートで打設され、電気配線が施されて照明設備が設置されている。
YはXに対し、本件駐車場が建築基準法2条第1項所定の建築物であり、建築物を建設するにあたり、建築主事の確認を受けることを求めた同法6条に違反したものとして、同法に基づき、本件駐車場の使用禁止を命じた。
これに対し、Xは、上記命令を不服として、建築審査会に対し審査請求をしたところ、同審査会はこれを棄却する裁決をした。
そこで、XはYを相手として、同命令取消訴訟を提起したのが本件である。
争点 Yの使用禁止命令の違法性の有無(本件駐車場が建築基準法2条第1項所定の建築物といえるか)

裁判所の判断
建築基準法の建築物とは、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの等をいうが、本件駐車場は工作物で、屋根及び柱もあるので、本件駐車場が上記建築物といえるか否かは「土地に定着する」といえるかによる。

「土地に定着する」の解釈にあたっては、建築物の利用者の生命、健康及び財産を守るにとどまらず、建築物が集団で存している都市の機能確保や市街地環境を確保するという建築基準法の目的を考慮しなければならない。

この観点からすると、「土地に定着する」工作物とは、必ずしも物理的に強固に土地に緊結された態様だけではなく、随時かつ任意に移動できる工作物ではない限り、工作物本来の用法上、定常的に土地に載置されている態様も含むものと認めるのが相当である。

本件駐車場は、確かに、鉄骨ユニットを組み合わせた「駐車場棚」を地平面上に載置しただけのものであり、製造メーカーパンフレットには、300坪あたりわずか6日間で設置でき、それを解体して別の場所に移動して同じ駐車場を組み立てることもできると謳われている。

しかし、本件駐車場は、組み立て及び解体が短時間ででき、設置や解体して移築することが容易なだけであって、その大きさ、自動車の格納能力、諸設備等に照らせば、解体せずにそのまま曵航移転することまでは予定しておらず、クレーンで吊り上げてそのまま移動させることも困難であるから、随時かつ任意に移動できる工作物とはいえない。

したがって、本件駐車場は、工作物本来の用法上、定常的に土地に載置されている場合にあたり、随時かつ任意に移動できる工作物とはいえないので、本件駐車場は「土地に定着する」工作物にあたり、建築基準法上の建築物といえるから、Xが同法に違反したものであるということを前提としてなした本件駐車場の使用禁止命令に違法はない。
自動車車庫の解釈について
 建築基準法の単体規定(特に防火関係規定)における自動車車庫の解釈については、昭和36年1月14目付け建設省住発第2号に基づいて取り扱う
建設省住発第2号(昭和36年1月14日)
次の各号に該当する建築物の部分は、自動車の収納の用に供するものであっても、自動車車庫として取り扱わない。
1 側面が開放的であること。
2 燃料の貯蔵(自動車のガソリンタンク内におけるものを除く)又は給油の用に供しないこと。
3 同一敷地内における床面積の合計が30m2以内であること。
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