建築基準法 解釈と説明

床面積
近畿建築行政会議の共通取扱い
01 住宅用工アコン等の室外機を設置した開放廊下、バルコニーの床面積
法第92条 令第2条第1項第3号
内容
床面積に算入しない「吹きさらしの廊下」及び「ベランダ、バルコニー」(以下、「吹きさらしの廊下等」という。)に住宅用工アコン等の室外機(各住戸に設けられる住宅用工アコンの室外機に限るものとし、高効率給湯器の室外機を含む)を設置する場合、その部分が吹きさらしの廊下等と区画されておらず、十分な開放性を有する場合はその部分についても床面積に算入しないことができる。


解 説
   住宅用工アコン等の室外機を設置した部分を吹きさらしの廊下等と柵等により区画しない場合、吹きさらしの廊下等は十分な開放性を有する屋外部分とみなし得るものとして、床面積に算入しないことができる。


   
   ただし、住宅用工アコン等の室外機を設置した部分を吹きさらしの廊下等と柵等(固定されていないものを除く)により区画する場合、当該区画部分は吹きさらしの廊下等の部分とはいえないため、床面積に算入する。
   
   なお、廊下の幅員については住宅用工アコン等の室外機を除いた部分で算定する必要がある。
   (戸建住宅の軒先利用などは審査機関等へ問い合わせること)
 

02 飾り柱等がある場合のバルコニーの床面積
   法92条 令第2条第1項第3号
 内容
バルコニーの飾り柱及び飾り壁等の内側の部分については原則として床面積に算入されるが、下図のように室内に面する部分が閉塞されない形状であり、以下の開放性の要件を満たすものについては、床面積に算入しないことができる。
ただし、内側の部分を屋内的用途に供さない場合に限る。

要件:L2×H2≧1/2×L1×H1
なお、開放廊下の場合も同様の扱いとする。



 
 03  吹きさらしの廊下等の床面積
   法第92条 令第2条第1項第3号

 内容
   「吹きさらしの廊下」及び「ベランダ、バルコニー」(以下、「吹きさらしの廊下等」という。)については、外気に有効に開放されている部分の高さが、1.1m以上であり、かつ、天井の高さの1/2以上である場合は、幅2mまでの部分を床面積に算入しない。
床面積に算入しない幅2mまでの部分の算定は図-1のとおり、1、2階は、吹きさらしの廊下等の腰壁又は手すり等の中心線より2mを超える部分が床面積に算入される。
3、4階は、当該吹きさらしの廊下等の上部の屋根等が、当該吹きさらしの廊下等の腰壁又は手すり等の中心線より屋内側にあるため、当該吹きさらしの廊下等の上部の屋根等の先端より2mを超える部分が床面積に算入される。
   
   「外気に有効に開放されている部分」の要件となる隣地境界線からの距離の検討は、各階及び廊下等の各部分ごとに行うものとする。
   
   1階は※1、2階は※2、3階は※3の水平距離で算定する。
4階は※3の水平距離ではなく、※4部分(吹きさらしの廊下等の上部屋根先端まで)の水平距離で算定する。

   なお、上図※部分の外気に有効に開放されている部分の要件である隣地境界線からの水平距離については、以下のとおり各地域で数値が定められているので留意すること。

滋賀県内:1m以上
京都府内:1m以上(京都市内を除く)
京都市内:1m以上(ただし、商業地域及び近隣商業地域にあっては0,5m以上)
大阪府内:0.5m以上(ただし、市街化調整区域にあっては1m以上)
兵庫県内:1m以上(ただし、商業地域及び近隣商業地域にあっては0,5m以上)
奈良県内:1m以上(ただし、住宅(共同住宅を除く)の3階以下の部分には適用しない)
和歌山県内:1m以上

また、吹きさらしの廊下等に対面して同一敷地内の他の建築物又は同一建築物の他の部分がある場合における当該部分間の水平距離についても、以下のとおり各地域で数値が定められているので留意すること。
滋賀県内:2m以上
京都府内:2m以上
大阪府内:2m以上
兵庫県内:2m以上(ただし、商業地域及び近隣商業地域にあっては1m以上)
奈良県内:2m以上(ただし、住宅(共同住宅を除く)の3階以下の部分には適用しない)
和歌山県内:2m以上
 



容積率
04 共同住宅の共用廊下の容積率不算入
法第52条第6項

内容
共用の廊下に接して設けられるアルコープ、ポーチで共用される空間としてみなし得るものは、容積率算定対象の床面積に算入しないことができる。

解説
共用の廊下として取り扱う共同住宅の住戸の玄関前のアルコープ及びポーチとは、当該部分を物品の保管、格納その他の屋内的用途に供さず、共用の廊下と一体として使用するものをいう。
以下の図は、床面積に算入しないことができる範囲を示したものであるが、寸法・形状を満足する場合であっても屋内的用途に供さず、共用の廊下と一体として利用することが前提である。
アルコープの部分は共用部分として扱い容積率算定の床面積に算入しない。
門扉(扉の有効幅は令第119条に規定されている数値以上のものであり、高さは1.1m以下、形状は開放性のある縦格子や金網状のもので、施錠を行わず誰でも出入り可能な状態のものに限る)から出入口まで、かつ、その奥行Dが当該ポーチの幅Wの2倍までは、共用の廊下と一体で使用するものとみなし、容積率算定の床面積に算入しない。



床面積
05 工レベーターの乗降ロビーに防雨スクリーン等を設けた場合の床面積
法第92条 令第2条第1項第3号
内容
吹きさらしのエレベーターの乗降ロビーに簡易な防雨スクリーン等を設置した場合、スクリーンの隠蔽部はその長さが1m以内であれば、床面積に算入しないことができる。
(1mを超えた場合の取り扱いは各特定行政庁により異なる)




06 バルコニー下等に設ける機械式駐車場の床面積
法第92条 令第2条第1項第3号
内容
工作物である機械式駐車施設の上部に建築物の一部が重なる場合、その部分を床面積として算入する。

床面積算入部分は15m2×{A/(B+A)}×台数とする

解説
工作物である機械式駐車施設は建築面積・床面積・道路斜線の後退距離に無関係であるが、建築物の一部が重なる場合、建築物側に屋内的用途が発生するため床面積に算入する。




07 車庫等の床面積
法第92条 令第2条第1項第3号
内容
各図において、床面積に算入する車庫の部分はA部分である。

図-1

図-2

図-3

図-4

図-5
解説
図-1 :2階の軒は、雨しのぎにならないため軒下部分は床面積に算入しない。
図-2、3:2階のバルコニー等は、雨しのぎになるためその下部は床面積に算入する。
軒・バルコニー等が十分に高い位置にある場合や車路等、上図以外は個別に判断する。




08 ポーチ部分の面積が通常出入りに必要な大きさを超える場合
法第92条 令第2条第1項第3号
内容
ポーチにおける出入りのための通行専用に供される部分については、原則として床面積に算入しない。
ただし、屋内的用途に供する部分は床面積に算入する。
解説
ポーチにおいて、建築物の出入りのための通行専用に供される部分にあっては、原則として床面積には算入されないが、ポーチの規模及び屋内的用途の発生が想定される場合にあっては床面積に算入される場合がある。
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