建築基準法 解釈と説明

用語の定義
近畿建築行政会議の共通取扱い
26 小規模な鋼製の置型倉庫(物置)
法第2条第1号
内容
小規模な鋼製の置型倉庫(物置)で、奥行が1m以内のもの又は高さが1.4m以下めものは建築物に該当しない。

解説
小規模な鋼製の置型倉庫(物置)で、人が建築物の中に入ることなく、外から物の出し入れが行えるものについては、貯蔵槽その他これらに類する施設に該当し、建築物として取り扱わないものとする。
したがって上記の規模は、最低限、人が内部に入ることのないものとした数値を示したものである。

参考
建築物に該当するものは、次の点に留意する必要がある。

1. 柱、土台、横つなぎ材等の主要構造部等に使用されている鋼材については、日本工業規格JIS規格)品又は大臣認定を使用する。(法第37条)
2. 建築物に該当する場合の基礎は、令第38条第3項の規定を満足する必要がある。
防火・準防火地域内で延焼のおそれのある部分の外壁の開口部には、防火設備を設置する。(法第64条、平成12年建設省告示第1360号)




用語の定義
27 住宅等における納戸等
法第2条
内容
「居室」の定義は、法第2条第4号において「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と規定されている。したがって、室名が納戸、フリールーム等(以下「納戸等」という。)の記述に係わらず、居住目的のために継続的な使用をする室は居室に該当する。
居室利用が想定される例(その他これらに類するものについても、利用形態を確認する必要がある。)
1. ワンルーム(いわゆるワンルームマンション)の就寝に供する住室
2. 床の間等を有するもの又は縁側を介する室
3. キッチンと食事スペースが兼用の室

解説
採光不足等により、室名を納戸等とする設計が見うけられるが、居室利用が想定されるものは記述に係わらず納戸等に該当しない。
住宅等とは、一戸建ての住宅、兼用住宅、共同住宅、長屋、寄宿舎をいう。




用語の定義
28 法第6条第1項の建築物の解釈
法第6条第1項
内容
 法第6条第1項の建築物の解釈について、法第6条第1項第2号における「木造の建築物」とは、「主要構造部のうち構造耐力上主要な部分」が木材で造られたものをいう。また、法第6条第1項第3号における「木造以外の建築物」とは、前記の部分の一種以上についてその全部又は一部が木材以外のものをいう。

解説
 法6条第1項第2号における「木造の建築物」については、法上明確な定義がなされていないが、同項第2号〜第4号の区分は、法第20条をはじめとする構造耐力規定と密接に関係していることを考慮し、「主要構造部のうち構造耐力上主要な部分」が木材で造られたものを「木造の建築物」とする。
 例えば、木造軸組工法で外装材にALCを貼る場合は、「主要構造部」である外壁の一部に木材以外が使われているが、外壁の「構造耐力上主要な部分」(構造用合板等の耐力壁又は筋交い)が木材(木材以外のものであっても令第46条第4項の表1の軸組に該当するものを含む)で造られているため、「木造の建築物」となる。また、木造軸組工法で階段を鉄骨造とした場合、階段は主要構造部であるが構造耐力上主要な部分ではないため「木造の建築物」となる。
 一方、柱、はり等は木材で造られているが、床版(仕上げ等は除く)を木材以外のものとした場合は法第6条第1項第3号における「木造以外の建築物」に該当する。
 なお、はりの一部のみ鉄骨が用いられているものなど、局部的に木材以外が用いられているものが「木造以外の建築物」に該当するかどうかについては、申請する審査機関等に相談すること

参考
法第2条第1項第5号
主要構造部:
壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。
令第1条第1項第3号
構造耐力上主要な部分:
基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋力、い、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。




延焼のおそれのある部分
29 延焼のおそれのある部分の自動車車庫等部分の開放部
法第2条第6号
法第2条第9号の2
法第2条第9号の3
法第64条
内容
法第2条第9号の2、同条第9号の3、又は法第64条の適用にあたり、建築物の一部が自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分(以下「自動車車庫等部分」という。)であって、次のいずれにも適合するものについては、当該自動車車庫等部分を外部空間として取り扱い、外壁の開放部に防火設備を設けないことができる。
1.  自動車車庫等部分は十分に外気に開放されていること。なお、十分に外気に開放されているとは、自動車及び自転車の出入りに必要な開放部が、常時、直接外気に開放されていることをいう。
2.  自動車車庫等部分の床面積が50m2以内であること。
3.  自動車車庫等部分の壁にあっては、全て、延焼のおそれのある部分にある外壁とみなしたときの技術的基準に適合すること。
 また、準耐火建築物(法第2条第9号の3イに該当するものに限る。)とした場合においては、全て、延焼のおそれのある部分にあるとみなしたときの準耐火構造の軒裏の技術的基準に適合する
天井を設けることとし、それ以外の建築物とした場合においては、防火構造の軒裏の技術的基準に適合する天井を設けること。ただし、耐火建築物の場合、又は直上階の床の構造を準耐火構造とした場合においては、この限りでない。
4.  自動車車庫等部分とその他の部分との壁又は床の開口部には、全て、延焼のおそれのある部分にある外壁の開口部とみなした場合の技術的基準に適合する防火設備を有すること。
解説
 自動車車庫等部分の外壁の開放部が延焼のおそれのある部分にある場合であっても、法第2条第9号の2、同条第9号の3、又は法第64条の適用にあたり、当該開放部に防火設備を設けないことができる。
 ただし、この場合、自動車車庫等部分の壁は、内部も含め全て延焼のおそれのある部分に要求される技術的基準に適合する外壁の構造とし、天井は、例外を除き、延焼のおそれのある部分に要求される軒裏の技術的基準に適合する準耐火構造又は防火構造のものを設けなければならない。また、自動車車庫等部分とその他の部分との壁又は床の開口部には、当該建築物の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に要求される防火設備を設けなければならない。





空地
30 里道・水路等の空地による緩和
令第20条第2項第1号
法第2条第6号
令第134条第1項、第2項
令第135条の3第1項第1号
令第135条の4・第1項第1号
令第135条の12第1項第1号
内容
採光、延焼のおそれのある部分、斜線制限、日影規制において、里道・水路等法定外公共物、線路敷、公園・広場等の空地による緩和の取扱いは以下のとおりとする。
1. 採光
公共の用に供している空地は、その種類によらず幅の半分だけ、敷地境界線が外側になるとして緩和される。
2. 延焼のおそれのある部分
防火上有効な公園、広場、川等の空地(十分な幅を有するものに限る。)に面する部分は、延焼のおそれのある部分から除かれる。里道や水路等法定外公共物は防火上有効な公園等と同等とはいえないものの、里道の実態は道路に類するものであり、道路はその中心線からの距離で延焼のおそれのある部分が生じることから、これに準じて取り扱う。
3. 道路斜線
道路斜線制限(令第134条第2項の2以上の前面道路がある場合を含む)では、道路の反対側の境界線に水路等の空地が位置している場合は、令第134条の規定により、いずれも緩和の対象となる。
4. 隣地斜線
隣地斜線は、水路等の空地の幅の半分だけ、敷地境界線が外側にあるとして緩和される。また、都市公園法施行令第2条第1項第1号に規定する都市公園(街区公園)は法文上緩和対象から除かれる。
5. 北側斜線・日影規制
北側斜線、日影規制はその緩和対象となる「その他これらに類するもの」の例示において、他の規定と異なり「公園・広場」を除外していることから、公園・広場は緩和の対象とはならない。なお、公園・広場以外の空地は隣地斜線と同様に取り扱われる。


解説
 里道・水路等法定外公共物については、公図等によるだけでなく、実態としても空間があり、将来にわたって空間が確保されるもので、かつ明示等によりその幅の確認ができるものが緩和対象となる。明示等による確認の方法については、申請する審査機関に確認が必要である。なお農道、臨港道路、都市下水路等で公共 団体が所有・管理するものも同様に扱う。
 線路敷は実態として空間がある場合は緩和対象となるが、高架や駅舎等がある場合の取扱いについては、申請する審査機関の確認が必要である。
 公園は都市公園法に基づく公園又は緑地、広場は公共団体が所有・管理する公開広場等が該当する。なお、都市計画公園で事業認可されており空地となっているものや、開発行為による帰属公園も同様に扱うが、取扱いを別に定めている場合もあるため事前に申請する審査機関に確認が必要である。
 高度地区によって制限を受ける場合の緩和については、地方公共団体の高度地区の制限を確認する必要がある。
里道・水路等の空地による緩和一覧表
里道・農道・臨港道路等(公共団体が所有・管理) 水路・都市下水路等(公共団体が所有・管理) 水面(川・海) 線路敷*2 公園・広場*3 根拠条文
採光 令第20条第2項第1号
延焼のおそれのある部分
道路に準ずる

道路に準ずる
*4
面する部分全て
*4
面する部分全て
*4
面する部分全て
法第2条第6号
道路斜線 *1 令第134条第1項
道路斜線(2A)*1 令第134条第2項
隣地斜線 △*5 令第135条の3第1項第1号
北側斜線 × 令第135条の4第1項第1号
日影規制 *6 *6 *6 *6 × 令第135条の12第1項第1号
全幅が緩和対象 :全幅の半分が緩和対象 ×:緩和対象とせず
*1: 道路の反対側にある場合に限る。
*2: 高架がある場合や駅舎がある場合等の取扱いについては申請する審査機関に確認が必要。
*3: 都市計画公園で事業認可されており空地となっているものや、開発行為による帰属公園については申請する審査機関に確認が必要。
*4: 水面(川・海)、線路敷、公園・広場の必要幅について条件がある場合があるため、申請する審査機関に確認が必要。
*5: 都市公園法施行令第2条第1項第1号に規定する都市公園(街区公園)を除く。
*6: 当該道路、水面、線路敷その他これらに類するものの幅が10mを超えるときは、当該空地等の反対側の境界線から当該敷地の側に水平距離5mの線を敷地境界線とみなす。




可分不可分
31 可分不可分
内容
 「用途上不可分の関係にある二以上の建築物」とは同一敷地内に二以上の建築物があり、それぞれの棟に敷地分割することによって、それぞれの建築物の用途上の機能が満たされないため、敷地分割のできない二以上の建築物をいい、敷地の用途を決定する主要用途建築物とこれに関連する附属建築物で構成される。
解説
 敷地は、一建築物ごとに一敷地が原則であるが、例外的に「用途上不可分の関係」にある二以上の建築物のある一団の土地は全体として一敷地とされる。
 なお、「用途上不可分の関係」にあるかどうかは、建築物の用途面における機能上の関連性に着目して行われるものであって、土地又は建物の管理者や所有者が同一力、は関係しない。
「工場と事務所」は用途上の機能が附属関係であれば不可分と判断できるが、「寮」は、工場や事務所と機能上の関連をもたず、単に併設されているだけであり、独立して機能を満たしているため、可分となる。
主要用途建築物である工場の用途上の機能を満たすために必要な建築物群であり、単独では用途上の機能が満たされない関係にある建築物群であれば不可分と判断できる。
主要用途建築物である寮の用途上の機能を満たすために必要な附属建築物であり、単独では用途上の機能が満たされない関係にある建築物群であれば不可分と判断できる。
主要用途建築物が住宅の場合における用途上不可分の附属建築物の例
○車庫○物置、納屋○茶室、あずまや
○離れ(住宅として独立して用途上の機能を満たすものは可分となる)
 

トップページ:建築基準法について

関連リンク
ADS-3Dデータのダウンロードと建築情報TOPへ
Free Collection of 3D Material-無料3D素材と背景&テクスチャへ 
土木施工管理技士の実力診断-試験問題に挑戦へ

建築施工管理技士の実力診断-試験問題に挑戦へ
管工事施工管理技士の実力診断-試験問題に挑戦へ
造園施工管理技士の実力診断-試験問題に挑戦へ
建築士の実力診断-試験問題に挑戦へ 建築設備士の実力診断-試験問題に挑戦へ
福祉住環境コーディネーターの実力診断-試験問題に挑戦へ
消防設備士・危険物取扱者の実力診断-試験問題に挑戦へ