建築基準法 解釈と説明

用語の定義
近畿建築行政会議の共通取扱い
   用語の定義
32 プラットホーム上に設ける旅客のための待合室
法第2条
内容
プラットホーム上に設ける旅客のための待合室は、建築物として取り扱わない。
解説
 建築基準法では、法施行当初時よりプラットホームの上屋は法適用外の建築物であるが、待合室については、昭和31年3月14日住指受第289号の通達において駅の事務室、待合室、荷捌所等は「運転保安施設に関する施設」に該当しない、要するに建築基準法適用の建築物に該当するとされている。

 一方、(財)鉄道総合技術研究所出典の「鉄道技術用語辞典」に駅本屋の解説があり、「…主要な施設の入った建物を指す。コンコース・広間・改集札口などからなる流動施設、待合室・便所・売店などかなる旅客施設、出札室・案内所・旅行センター・精算室など力、らなる接客施設、駅長室・役務室などからなる駅務施設の四つの施設に大別される。」と待合室の記述がある。

 同じく上屋についての解説は「旅客などを風雨、雪、日差しから守るためにホーム上などに設けられたもので、壁のない屋根だけの施設あるいは屋根を主体とした壁の少ない建物。…」とある。

 建築基準法施行時及び通達の出た頃の駅舎の形態は全国的に地平駅が一般的であり、駅本屋と線路、プラットホームとは平面的にある程度明確に区切ることが可能であったことより、駅施設における建築基準法の適用範囲を駅舎(駅本屋)は建築物、ラチ内については運転保安施設、跨線橋を含め建築基準法適用外としたものと推測される。

 以上のことより、昭和31年通達の待合室は、駅本屋の部分にあるものについて述べているものと解するのが妥当と思われ、プラットホーム上に設ける待合室は利用実態から「鉄道技術用語辞典」の上屋の解説に記述されているとおり、「旅客などを風雨、雪、日差しから守るためにホーム上などに設けられたもの」であることから、プラットホーム上に設ける旅客のための待合室は、建築基準法第2条に規定するプラツトホームの上屋その他これらに類するものとして建築物とは取り扱わないものとする。

参考
昭和31年3月14日住指受第289号「運転保安に関する施設」




用語の定義
33 プラットホーム上に設ける小規模な売店
法第2条
内容
プラットホーム上に設ける小規模な売店で下記の全てに該当するものは、建築物として取り扱わない。
・プラットホームは、外気に開放されていること。
・販売員以外が立ち入ることができないブースタイプのもので、築造面積が10u以内であること。
・当該部分において火気を使用しないもの。
・不燃材料で造られているもの。
・鉄道利用客が列車待ち又は客車内で必要とする日用品、飲食物、新聞及び書籍等の販売に限る。

解説
 駅構内の店舗等については、現在までの経過として小規模なものから通常の飲食店、物販店と変わらないもの、また最近では「駅ナカ」と称される大規模な商業施設まで様々である。
 駅構内の売店等の歴史については、昭和7年に鉄道弘済会が物品販売を行う売店を始めたことがわかっているが、それまでにも民間事業者が行い、駅弁等の飲食物については、明治初期には各地で駅構内で販売を始めていたようである。
 その販売形態については、駅本屋に店舗を構えラチ内外で販売し、食事時間帯前後に臨時にプラットホーム上にキャスター付きのカート又は台を置いてその上に駅弁等を陳列して販売する形態や販売員が駅弁等を盆状の容器に載せホーム上で販売するなどしていたようである。
 各種法令上の規制については、建築基準法以外に消防法、鉄道営業法の規制を受けている。

 建築基準法では、プラットホームの上屋、運転保安施設等規制対象外部分が存在するが、消防法はラチ内の施設を含め、また、ラチ内外の店舗等については、規模に応じて「みなし従属」を適用し防火対象物として規制している。
 鉄道営業法については、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」、省令の具体的な内容の通達である
 「鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準」が定められ、これにより鉄道事業者は省令に定める実施基準を策定し、地方運輸局に届出ることが義務付けられている。

 ただし、鉄道省令では、地下駅については避難設備、排煙設備及び消防用設備等について具体的な火災対策が示されているが、一般の駅舎については建築基準法対象外の運転保安施設等の構造、プラットホームの幅や長さの基準にとどめられている。
 また、消防法では駅としての防火対象物の適用を受けてはいるが、ラチ内コンコース(プラットホームを含む)部分については、原則スプリンクラーの設置を要しない。
 以上のことより、駅本屋(ラチ内外)に設ける店舗等については、規模等により火災対策に差異があるが、そのうちプラットホーム上に設ける小規模な売店については、現在までの経過もさることながら、消防法及び鉄道営業法等で一定防火上等の安全性は判断されることにより、上記に明記する範囲内のものについてはプラットホームの上屋その他これらに類するものとして建築物とは取り扱わないものとする。




延べ面積
34 容積率の算定の基礎とな令第2条第1項第4号る延べ面積の算定方法の合理化の取扱いに関するQ&A 
令第2条第1項第4令第2条第3項号並びに同条第3項関係
改正の概要
 自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設の用途に供する部分に加え、専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分、蓄電池(床に据え付けるものに限る。)を設ける部分、自家発電設備を設ける部分及び貯水槽を設ける部分についても、その床面積を一定の範囲内で容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しないこととするものである。
適用対象について
本規定は、建築物の用途を問わず、令第2条第3項に規定する割合を上限として、以下に掲げる部分に適用される。
(1)  防災用の備蓄倉庫の用途に供する部分
   「専ら防災のために設ける備蓄倉庫」とは、非常用食糧、応急救助物資等を備蓄するための防災専用の倉庫であり、利用者に見えやすい位置に当該倉庫である旨の表示されているものをいう。

Q1: 備蓄倉庫は、建物の滞在者に供するもの、地域住民に供するもの等、特に対象者は問わないか。
A1: 備蓄倉庫の物資を供する対象は限定していない。


Q2: 備蓄倉庫である旨の表示の仕様(大きさや材質など)は。
A2: 容易に識別できる大きさの文字で、かつ時間の経過により劣化しないような塗料で扉や壁面に表示すること。なお、プレートで表示する場合は扉や壁面に固定すること。

(2)  蓄電池を設ける部分
   「蓄電池」とは、蓄電池本体のほか、その蓄電機能を全うするために必要的に設けられる付加的な設備は対象に含める。
 なお、「床に据え付ける」とは、床に据えて動かないように置くことをいい、いわゆる据置型、定置型の蓄電池を想定している。

Q1: 付加的な設備の設置場所が、当該蓄電池と離れていても適用対象となるか。
A1: 当該蓄電池と同じ室に設けられている場合は適用対象となる。

(3)  自家発電設備を設ける部分
   「自家発電設備」とは、同一敷地の建築物において電気を消費することを目的として発電する設備をいい、発電機本体はもとより、発電機の稼動に必要な機器や燃料等を含むものである。

Q1: 自家用と売電用の併用とする場合は、適用対象とならないか。
A1: 自家発電設備で自家用に電気を供給している場合は、余剰発電を売電していても適用対象となる。


Q2: 自家発電設備室とは壁で区画され隣接する自家発電設備専用の給排気ダクトスペースも適用対象となるか。
A2: 当該自家発電設備室と別に区画された室に設けられている場合は適用対象とならない。


Q3: 非常用発電設備は、適用対象となるか。
  A3:  自家用に電気を供給するものであるので適用対象となる。

   
   
(4)  貯水槽を設ける部分
  「貯水槽」とは、水を蓄える槽であり、修理や清掃等の限られた場合を除き内部に人が入ることのない構造を有するものをいう。なお、水の使用目的は問わない。

Q1: 貯水槽に設けるポンプ等の機械の部分は適用対象となるのか。
A1: 適用対象とならない。


Q2: 通常の上水の受水槽は適用対象となるのか。
A2: 水を蓄える槽であれば、設置目的を問わないので、通常の上水の受水槽や消防水槽も適用対象となる。また、貯湯槽、蓄熱槽のほか、膨張水槽、圧力水槽等の小規模なものについても適用対象となる。


Q3: エコキュートや電気温水器の貯水槽ユニツト(貯水タンクを有する機器)も適用対象となるのか。
  A3: 適用対象となる。


  Q4:  雨水利用・中水利用の貯水槽についても適用対象となるのか。
  A4:  適用対象となる。

   
   
 適用対象について
   本規定を適用させる部分については、壁で囲われた専用室であることを原則とする。ただし、蓄電池設置部分、自家発電設備設置部分及び貯水槽設置部分にあっては、壁で囲われた専用室でなくとも、当該設備を設けるために必要な範囲において、他の部分と明確に区画されていれば、当該部分の床面積を不算入として差し支えない。
   
Q1: 蓄電池設置部分、自家発電設備設置部分及び貯水槽設置部分の場合は「壁で囲われた専用室でなくとも、当該設備を設けるために必要な範囲において、他の部分と明確に区画されていれば」とあるが、どのような仕様で区画されていれば適用対象となるのか。
A1: 他の部分と客観的に異なる空間であることが、壁等の固定構造物(腰壁、金属プレート等)や形態等(床面のスリット、段差等)により明示されていることが必要である。
なお、防災備蓄倉庫の場合は、壁で囲われた専用室であることが適用の条件となる。


Q2: 「当該設備を設けるために必要な範囲において」とあるが、必要な範囲の判断基準はあるか。
A2: 区画は、必要最小限の空間という考え方が基本となる。設備によって必要スペースが異なるので、一律に基準は設けられていないが、過大と思われる場合は、必要性の説明を求めた上で判断することとなる。



適用の事例図
【共同住宅のメーターボックス内にエコキュートや電気温水器の貯水槽ユニット(貯水タンクを有する機器)を設ける場合】
←→印の位置で区画されていれば、その範囲を「当該設備を設けるために必要な範囲」として取り扱う。
 
不算入とする床面積の範囲
(ただし、当該機器に接続する配管以外の配管が、当該範囲内にある場合、その配管部分の面積は不算入の対象とならない)



   【受水槽設置室の場合】
   下図の、←→印の位置で区画されていれば、その範囲を「受水槽本体と周囲の保守点検用の専用の空間」として取り扱う。
   
  ※保守点検のためのスペースの幅は、概ね0.6〜1.5m程度である。


   【自家発電設備室の場合】
   下図の自家発電設備は、当該専用室を全て自家発電設備を設ける部分として取り扱う。
   
 その他
   
Q1: 本適用を受けるにあたり、建築確認申請書に明示が必要な事項はなにか。
A1: 平面図には、「間取、各室の用途及び床面積」の明示が必要となるが、備蓄倉庫の場合は「備蓄倉庫である旨の表示位置及び表示の仕様」の明示も含まれるものとして取り扱う。蓄電池、自家発電設備又は貯水槽の場合は、「設置部分の位置」の明示が必要となるが、専用室でない場合は「区画の位置及び区画の仕様」の明示も含まれるものとして取り扱う。
 また、床面積求積図には、「不算入とする床面積の範囲の求積根拠」の明示が必要となる。


Q2: 容積率に十分な余裕がある場合も、政令で「算入しない」と規定されているため、適用対象があれば、自動的に容積率不算入措置が適用されるのか。
A2: 自家発電設備、蓄電池、貯水槽の場合で適用対象のみの専用室でないものは、他の部分と区画しなければ不算入措置の対象とならないため、区画を行い不算入対象にしようとしない限りは、自動的に不算入措置が適用されることはない。(適用の事例図参照)
 また、備蓄倉庫の場合は、不算入措置の対象となる条件として「専用室であること」「備蓄倉庫である旨が表示されていること」が求められるため、この要件を満足させ不算入対象にしようとしない限りは、自動的に不算入措置が適用されることはない。
   
 



   
建築物の床面積の算定
   建築物の床面積は、建築物の各階又はその一部で、壁、扉、シャッター、手摺、柱等の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積によるものであるが、ピロティ、ポーチ等で壁、扉、柱等を有しない場合には、床面積に算入するかどうかは、当該部分が居住、執務、作業、集会、娯楽、物品の保管又は格納その他の屋内的用途に供する部分であるかどうかにより判断するものとする。
例えば、次の各号に掲げる建築物の部分の床面積の算定は、それぞれ当該各号に定めるところによるものとする。
   
(1) ピロティ
十分に外気に開放され、かつ、屋内的用途に供しない部分は、床面積に算入しない。
(2) ポーチ
原則として床面積に算入しない。ただし、屋内的用途に供する部分は、床面積に算入する。
(3) 公共用歩廊、傘型又は壁を有しない門型の建築物
ピロティに準じる。
(4) 吹きさらしの廊下
外気に有効に開放されている部分の高さが、1.1m以上であり、かつ、天井の高さの1/2以上である廊下については、幅2mまでの部分を床面積に算入しない。
(5) バルコニー・ベランダ
吹きさらしの廊下に準じる。
(6) 屋外階段
次の各号に該当する外気に有効に開放されている部分を有する階段については、床面積に算入しない。
長さが、当該階段の周長の1/2以上であること。
高さが、1.1m以上、かつ、当該階段の天井の高さの1/2以上であること。

(7) エレベータシャフト
原則として、各階において床面積に算入する。ただし、着床できない階であることが明らかである階については、床面積に算入しない。
(8) パイプシャフト等
各階において床面積に算入する。
(9) 給水タンク又は貯水タンクを設置する地下ピット
タンクの周囲に保守点検用の専用の空間のみを有するものについては、床面積に算入しない。
(10) 出窓
次の各号に定める構造の出窓については、床面積に算入しない。
下端の床面からの高さが、30cm以上であること。
周囲の外壁面から水平距離50cm以上突き出ていないこと。
見付け面積の1/2以上が窓であること。

(11) 機械式駐車場
吊上式自動車車庫、機械式立体自動車車庫等で、床として認識することが困難な形状の部分については、1台につき15uを、床面積として算定する。なお、床としての認識が可能な形状の部分については、通常の算定方法による。
(12) 機械式駐輪場
床として認識することが困難な形状の部分については、1台につき1.2uを、床面積として算定する。なお、床としての認識が可能な形状の部分については、通常の算定方法による。
(13) 体育館等のギャラリー等
原則として、床面積に算入する。ただし、保守点検等一時的な使用を目的としている場合には、床面積に算入しない。
   
 区画の中心線の設定方法
   次の各号に掲げる建築物の壁その他の区画の中心線は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
   
(1) 木造の建築物
軸組工法の場合
柱の中心線
枠組壁工法の場合
壁を構成する枠組材の中心線
丸太組構法の場合
丸太材等の中心線

(2) 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等の建築物
鉄筋コンクリートの躯体、PC板(プレキャストコンクリート板)等の中心線
(3) 鉄骨造の建築物
金属板、石綿スレート、石膏ボード等の薄い材料を張った壁の場合
胴縁等の中心線
イ以外の場合
PC板、ALC板(高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート板)等の中心線

(4) 組積造又は補強コンクリートブロック造の建築物
コンクリートブロック、石、れんが等の主要な構造部材の中心線
   
 

トップページ:建築基準法について

関連リンク
ADS-3Dデータのダウンロードと建築情報TOPへ
Free Collection of 3D Material-無料3D素材と背景&テクスチャへ 
土木施工管理技士の実力診断-試験問題に挑戦へ

建築施工管理技士の実力診断-試験問題に挑戦へ
管工事施工管理技士の実力診断-試験問題に挑戦へ
造園施工管理技士の実力診断-試験問題に挑戦へ
建築士の実力診断-試験問題に挑戦へ 建築設備士の実力診断-試験問題に挑戦へ
福祉住環境コーディネーターの実力診断-試験問題に挑戦へ
消防設備士・危険物取扱者の実力診断-試験問題に挑戦へ