建築基準法 解釈と説明

用語の定義
鉄道等の運転保安施設等、これらに類する施設
跨線橋上の駅舎の取り扱い
定 義

1. 地平駅の取扱い
(1) 地平駅の駅舎(駅本屋)は、全体が建築物に該当する。
 ただし、駅舎の屋根の一部がプラットホームの上部を覆っている場合は、当該部分は法第2条第1号かっこ書きに規定する「プラットホームの上家」にあたり、建築物とは取り扱わないものとする。

(2)  法第2条第1号かっこ書きに規定する「線路敷地内の運転保安に関する施設」とは、信号装置、転てつ装置、列車運転用通信装置等のみに直接関係する施設をいう。

 したがって、線路敷地内に設けられる電車等の車両庫、車両検修のための検査庫、保線作業員詰所、倉庫等は運転保安に関する施設に該当せず、建築物にあたると解される。

(3) 駅本屋とプラットホーム又はプラットホームどうしを連絡する地下道は、法第2条第1号に規定する「地下の工作物」に該当し、それ自体は建築物にはあたらないと取り扱う。




2. 橋上駅の取扱い
(1)  法第2条第1号に規定する「跨線橋」とは、駅のラチ内に設けられる駅本屋とプラットホーム又はプラットホームどうしを連絡する橋と取り扱う。

 橋上駅のラチ内のコンコースは、跨線橋を兼ねて使用されるものであることから、通行の用に供する部分に限り、「跨線橋その他これらに類する施設」として取り扱う。

 ラチ内に設けられるプラットホームへの昇降のための昇降機もこれに含むものとする。

(2) 橋上駅舎内にあり、又は、橋上駅舎に接続するラチ外の自由通路は、「跨線橋その他これらに類する施設」には該当しないものと取り扱う。




3. 高架下駅の取扱い
(1)  鉄道高架そのものは建築物に該当しない高架の工作物であるが、高架下を利用する高架下駅は、法第2条第1号に規定する「高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設」に該当し、駅舎部分は建築物にあたるものと取り扱う。

 ただし、ラチ内のコンコース及びホームへ昇降する階段、昇降機等の部分は、プラットホームどうし又はプラットホームと駅本屋を連絡する機能を有することから、「跨線橋その他これらに類する施設」として取り扱う。

(2) ラチ外のコンコースについては、外気に対して十分な開放性があり、不燃材料で造られたもので火災の発生のおそれが少ないものは、防火・避難に関する規定の適用はないものとする。



4. 地下駅の取扱い
(1)  地下駅(駅ビル、地下街の部分を除いた駅施設の部分に限る。)については、地上から改札口に至る階段、通路、コンコース等を含めて、「地下の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設」にあたり、全体として建築物にあたるものとして取り扱う。
 地上とコンコースを昇降する昇降機についても建築設備に該当するものとする。

 ただし、ラチ内のコンコース並びに当該コンコースからホームへ昇降する階段及び昇降機の部分は、「跨線橋その他これらに類する施設」にあたり、建築物とは取り扱わないものとする。

(2)  通路、階段、コンコース等の流動施設は、防火上及び避難上の安全性を確保するため、流動施設に面する諸室(駅務室、便所、倉庫、機械室等)と耐火構造の床若しくは壁又は常時閉鎖式若しくは煙感連動式の特定防火設備で区画することが望ましい。

 ただし、出札窓口、自動券売機室、便所等の開口部で、防火上支障がなく、かつ、機能上又は構造上特定防火設備を設けることが困難な場合はこの限りでない。

「防火上支障がなく」とは、例えば、出札窓口等で、その後方の火災の発生のおそれの少ない部分と認められる位置に当該防火区画がされているものをいう。

(3)  改札口から地上に至るラチ外のコンコース、通路、階段等の流動施設の部分については、通常、ラチ内のコンコースと一体的な空間であることに加え、地下鉄道の火災対策の基準(昭和50 年1月30 日鉄総第49 条の2及び昭和50 年2月14 日鉄土第9号)により、駅及び駅に接続するトンネルについて、一定の防火、避難上の措置(建造物の不燃化、避難誘導設備、排煙設備、防火戸等の設置等)が講じられることが期待されることから、(2)の防火区画等の措置状況を勘案の上、防火・避難に関する規定を適用しないことも考えられる。

(4)  主に、地下駅に関連して設けられる次に掲げる施設の部分は、鉄道線路内の運転保安に関する施設に該当するものとして、建築物とは取り扱わないものとする。

非常用発電機室(信号装置等のみに係るものとし、建築設備の予備電源を兼ねる場合は除く。)

換気機械室(駅施設以外の事務所、店舗等の負荷を負担している場合は除く。)

排煙用機械室(駅構内、隧道用のみに係るもの。)



   
解 説
地平駅:  駅本屋の敷地が付近の道路面との高さにおいてあまり差がない駅。

(出典:(財)鉄道総合技術研究所『鉄道技術用語辞典』丸善)


駅本屋: 駅が旅客の乗降または貨物の積卸しを行うために使用する場所をいうのに対し、主要な施設の入った建物を指す。コンコース・広間・改集札口などからなる流動施設、待合室・便所・売店などからなる旅客施設、出札室・案内所・旅行センター・精算室などからなる接客施設、駅長室・役務室などからなる駅務施設の四つの施設に大別される。

(出典:(財)鉄道総合技術研究所『鉄道技術用語辞典』丸善)


ラチ:  改札柵。改集札を行うためのボックス・柵・自動改札機、およびそれらから隣接する施設までの柵の総称。
 駅利用者が改札柵を通ってから動くことのできる範囲を柵(ラチ)内といい、それ以外の部分を柵(ラチ)外という。

(出典:(財)鉄道総合技術研究所『鉄道技術用語辞典』丸善)


コンコース:  駅本屋内の流動施設で、駅本屋出入口からホームに至るまでに旅客・駅利用者が通る主要な通路のこと。
 旅客流動を捌くための通路としての機能のほかに、旅行準備や待合わせを行う滞留スペースとしての機能をもつ。
 また、出入口から改札柵(ラチ)までの柵(ラチ)外コンコース、改札柵(ラチ)からホームまでを柵(ラチ)内コンコースというように区別する。

(出典:(財)鉄道総合技術研究所『鉄道技術用語辞典』丸善)


自由通路:  駅(線路)の両側に広がる市街地を連絡し、駅周辺の歩行者の流れをスムーズにするために設けられる通路。
 地平駅を橋上化した際の跨線橋形式のものが最も代表的であるが、地下道形式などもある。

(出典:(財)鉄道総合技術研究所『鉄道技術用語辞典』丸善)


上家:  旅客などを風雨、雪、日差しから守るためにホーム上などに設けられたもので、壁のない屋根だけの施設あるいは屋根を主体とした壁の少ない建物。最近は鉄骨造のものが多く使用される。
 旅客上家、貨物上家、ホーム上家、通路上家といった具合にその設置目的や場所によって名称が着けられる。また、断面形状によってF 形、Y 形、V 形、W 形などに分類される。

(出典:(財)鉄道総合技術研究所『鉄道技術用語辞典』丸善)


跨線橋:  鉄道線路を越えるためにその上に掛け渡した橋。橋上を通るものの種類により、跨線道路橋、跨線人道橋、跨線通路橋などの名称がある。

(出典:(財)鉄道総合技術研究所『鉄道技術用語辞典』丸善)



 駅本屋と旅客ホームが同一平面にあるときは、旅客が線路を横断するのに跨線橋か地下道を利用しなければならない。
 跨線橋は施工が比較的容易であるが、構内の見通しを妨げ、地下道に比べて階段数が多い。地下道は駅構内の見通しを害することがなく跨線橋より階段数が少ないが、施工が複雑で建設費が高く排水設備も要する。
 そのため、中小駅は跨線橋を、利用の多い大駅は地下道を採用するケースが多い。

(出典:久保田博『新版鉄道用語事典』グランプリ出版)

参 考
法第2条第1号
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