平成24年度 1級土木施工管理技術検定試験  午前問題(問題A) Page3

※ 問題番号No.16〜No.49 までの34 問題のうちから10 問題を選択し解答してください。
解答及び解説で疑問を持ったら即調べてみましょう。
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No34 ゾーン型フィルダムの施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 遮水ゾーンの転圧は,原則としてダム軸と直角方向に行い,未転圧部が生じないよう10 cmは重複させる。
2 遮水ゾーンの施工は,一般に最適含水比前後の定められた狭い範囲で締め固めることが要求されるので,降雨時には一般に行わない。
3 遮水ゾーンと半透水ゾーンの盛り立ては,水平に盛り立てることが望ましく,境界部では半透水性材料が遮水ゾーンにはみ出さないように施工する。
4 基礎掘削は,一般に遮水ゾーンでは十分な遮水性が期待できる岩盤まで掘削し,透水ゾーンでは所要のせん断強度が得られるまで地山の緩んだ部分を取り除く程度の掘削を行う。

解答と解説: 

答え--- 1
遮水ゾーンの転圧は堤体横断方向に転圧することを原則とする。転圧時の重複幅は、30p以上重複させ転圧を行なう。特殊な工法では20cm以上の重複でも可だが、10cmでは少なすぎる。


No35 トンネルの山岳工法における変位計測のデータ活用方法に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 変位計測の結果は,地山と支保が一体となった構造の変形挙動であり,変位の収束により周辺地山の安定を確認することができる。
2 覆工コンクリートは,地山との一体化をはかるため原則として地山の変位の収束前にコンクリートを打ち込むため,覆工の施工時期を判断する際に変位計測の結果が利用される。
3 支保部材の過不足などの妥当性については,変位の大小,収束状況により評価することができ,これから施工する区間の支保選定に反映することが設計の合理化のために重要である。
4 インバート閉合時期の判断は,変位の収束状況,変位の大小,脚部沈下量などの計測情報を最大限活用しながら行うことが重要である。

解答と解説: 

答え--- 2
覆工コンクリートは原則として地山変位の収束を待って施工する。


No36 トンネルの山岳工法における補助工法に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 脚部補強ボルト,パイルによる工法は,上半盤支保工接地部の応力集中の緩和や下半掘削時の地山崩落防止などを目的として採用されるが,打設時に穿孔水で地山を乱し,逆効果となることがあるので穿孔方法には十分注意する必要がある。
2 パイプルーフ工法は,特に天端部の安定性確保や地表面沈下対策などに採用されるが,一般に大きな設備を要し,工期と工費ともに大きいので採用にあたっては十分な検討が必要である。
3 充てん式フォアポーリング工法は,天端の崩壊や崩落対策として一般的であり,先受け材として10m以上の鋼管が使用され,掘削断面形状の変更や施工機械設備の変更を伴う場合がある。
4 水抜きボーリング工法は,先進ボーリングにより集水孔を設け排水を行う方法であり,一般的に多く利用されているが,未固結な地山の場合では水と一緒に土粒子を抜かないように十分注意する必要がある。

解答と解説: 

答え--- 3
フォアポーリングはボルト等の長さが5m以下のものをいい、5m以上はフォアパイリングと呼ぶ。10m以上の鋼管が使用されているなら、長尺鋼管フォアパイリング AGF工法が妥当。


No37 養浜の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 養浜の施工方法は,養浜材の採取場所,運搬距離,社会的要因などを考慮し,最も効率的で周辺環境に影響をおよぼさない工法を選定する。
2 養浜の陸上施工については,工事用車両の搬入路の確保や投入する養浜砂の背後地への飛散など,周辺への影響について十分検討して実施する。
3 養浜材は,あらかじめ汚濁の発生源となるシルト,有機物,ごみなどを取り除くなど汚濁の発生防止に努めるとともに,周辺海域において定期的に水質調査を実施する。
4 砂浜性海岸では,工事中の濁りが魚介類の生態に及ぼす影響はないが,岩礁性海岸では影響があるので流出した細粒土砂に注意する。

解答と解説: 

答え--- 4
養浜施工では、どのような場合であっても工事中の濁りが発生する可能性が生態系に影響する恐れがある。


No38 海岸堤防の根固工の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 根固工は,法面被覆工の法先などに接続して設ける必要があり,単独に沈下や屈とうできるように被覆工や基礎工と絶縁しなければならない。
2 異型ブロックを用いた根固工は,異型ブロック間の空隙が大きいため,その下部に空隙の大きい捨石層を設けることが望ましい。
3 捨石根固工を汀線付近に設置する場合は,原地盤を1m以上掘り込むか天端幅を広くとることが多い。
4 捨石根固工の施工にあたっては,表層に所要の質量のものを3個並び以上とし,根固工の内部に向かって次第に小さい石を捨て込む。

解答と解説: 

答え--- 2
海岸堤防に異型ブロックを用いるのは適度な空隙により波の力を分散する効果がある。下部に大きめの砕石を用いるが、特に空隙を設けない。


No39 港湾の防波堤の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 捨石式の傾斜堤は,捨石の大きさに限度があることから一般に波力の弱いところに用いられるが,やむを得ず波力の強い箇所に用いる場合には法面をブロックで被覆することがある。
2 ケーソン式の直立堤は,ケーソンの製作設備や施工設備に相当な工費を要すると共に,荒天日数の多い場所では海上施工日数に著しい制限を受ける。
3 ブロック式の直立堤は,施工が確実で容易であり,施工設備も簡単であるなどの長所を有するとともに,各ブロック間の結合も十分でケーソン式と同様な一体性が確保される。
4 混成堤は,水深の大きい箇所や比較的軟弱な地盤にも適するが,施工法及び施工設備が多様となる。

解答と解説: 

答え--- 3
ブロック式の直立堤は据付部分の管理が難しいので施工が確実で容易とはいえない。


No40 浚渫工事に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 ポンプ船は,あまり固い地盤には適さないが,グラブ船は軟泥から岩盤まで適応可能な範囲が広い。
2 ポンプ船は,大量の浚渫や埋立に適しており,グラブ船は中小規模な浚渫や岸壁など構造物周辺の浚渫に適している。
3 ポンプ船及びグラブ船による浚渫の法勾配は,土質により自然の安定勾配となり,浚渫船の違いによる施工勾配に差はない。
4 ポンプ船とグラブ船の余掘は,一般にポンプ船に比べグラブ船の余掘を大きく見込む必要がある。

解答と解説: 

答え--- 4
浚渫の余掘りとは、堀後の凹凸を考慮して、必要な水深より深い面まで浚渫する余裕部分の掘削をいう。
グラブバケット方式は水平堀が可能なので一般に浚渫深度管理システムを併用することにより、余掘土量が低減できる。ポンプ浚渫+空気圧送方式と比較すれば少なくなる。



No41 鉄道盛土の補強土壁に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 盛土補強土壁の施工順序は,一般に基礎工,ジオテキスタイル敷設,仮抑え工,盛土工,壁面工の順である。
2 補強土壁の仮抑え工は,施工時における盛土の安定や壁面工と盛土部の境界面を分離する役割がある。
3 壁面工の根入れ深さは,将来地盤面が現状より下がる場合は,盛土側の地盤には将来地盤面まで補強材の配置を行い,それ以深に0.4m以上の根入れを確保すればよい。
4 補強土壁の排水工は,壁背面に栗石やクラッシャーランなどで盛土部に排水層を設けるとともに,擁壁と同様に直径60 mm 程度の排水パイプを2〜4m2に1ヶ所程度設ける。

解答と解説: 

答え--- 2
補強土壁の仮抑え材の目的として、構築後は排水層としてだけでなく、圧縮剛性の高い壁面と剛性の小さい盛土との間に緩衝材としての役割がある。分離する役割はない。

No42 鉄道の省力化軌道用コンクリート路盤の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 コンクリート路盤は,鉄筋コンクリート版と粒度調整砕石層で構成され,鉄筋コンクリート版の役割は軌道から荷重を下部に伝達するとともに,大きな曲げ剛性により変位を抑制するように平坦な路盤面を確保する。
2 路床の排水層は,切土の場合には設置しないが,盛土の場合には地下水排水のためコンクリート路盤部の粒度調整砕石層の下に排水層を設ける。
3 コンクリート路盤の粒度調整砕石層の役割は,鉄筋コンクリート版を支持しこれから伝えられる荷重を分散して路床に伝達することで,狭軌用の粒度調整砕石層の厚さは15 cm に仕上げる。
4 軌道スラブの施工及び列車荷重の分散範囲を考慮して決めた構造上必要な鉄筋コンクリート路盤の幅は,狭軌では2.6 m である。

解答と解説: 

答え--- 2
省力化軌道用コンクリート路盤の切土の場合、排水層を設けるようにする。粒度調整砕石層は排水層の役割も果たすので、特に設けない場合もある。

No43 営業線近接工事の保安対策に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 列車の振動,風圧などによって不安定,危険な状態になるおそれのある工事は,列車の接近時から通過するまでの間,施工を一時中止する。
2 線閉責任者などによる跡確認は,作業終了時に直線部と曲線部を同一寸法の建築限界で建築限界内の支障物の確認をする。
3 線閉責任者は,作業時間帯設定区間内の線路閉鎖工事が作業時間帯に終了できないと判断した場合は施設指令員にその旨を連絡し,施設指令員の指示を受ける。
4 既設構造物などに影響を与えるおそれのある工事の施工にあたっては,異常の有無を検測しこれを監督員などに報告する。

解答と解説: 

答え--- 2
支障物の確認は作業開始前に実施。作業終了時ではない。

No44 シールド工法におけるセグメントに関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 軟弱な地盤におけるシールドのセグメントは,セグメントリングの変形に伴う地盤反力が期待できないため,継手はできるだけ剛な構造とする。
2 セグメントの組立は,エレクタとスライドジャッキを使用して左右両側に交互に組み立て,最後にスライドジャッキが設置しやすい下部のセグメントを挿入する。
3 セグメントは,対象とするトンネルの用途や地盤条件に応じて種類を選択するが,合成セグメントは鉄筋コンクリートセグメントと比較して鋼殻の桁高(厚さ)の縮小が期待できる。
4 コンクリート系セグメントは,完成後の地山外力や推進時の施工荷重を対象に配筋がなされており,運搬時にはこれらと異なった荷重が作用することが考えられるのでつり位置の検討が必要である。

解答と解説: 

答え--- 2
シールド工法におけるセグメントの組立は、最後に上部を挿入する。

No45 鋼橋の防食に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 塗装は,金属の表面に塗装することにより塗膜を形成し,腐食因子である水,酸素,酸類,塩類などの遮断を目的としており塗装仕様に適合した塗料を使用する。
2 耐候性鋼材面に補修塗装する場合は,鋼材面に生成された保護性さびをできるだけ残し,一般的には有機ジンクリッチペイントなどを用いて塗装を行う。
3 溶融亜鉛めっき面に補修塗装する場合は,溶融亜鉛めっきが残存して防食機能を保持している必要があり,亜鉛が消耗して鋼材が腐食し始めた場合にはめっきで補修する。
4 電気防食は,腐食環境下に設置した電極から鋼材に直流電流を通電することにより,腐食電位より低い電位とし腐食を抑制する方法である。

解答と解説: 

答え--- 2
耐候性鋼材はメンテナンスフリーではあるが、さび安定化進度と腐食速度が逆転するような場合の補修では、塗装前にはサビを落とす。

No46 軟弱地盤や液状化のおそれのある地盤での上水道管布設に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 不同沈下を防止するため梯子胴木を用いる場合は,胴木に直接管体を接触させると応力集中が生じるので,接触面にゴム板などクッション材を設置することが必要である。
2 水管橋又はバルブ室など構造物の取付け部には,不同沈下に伴う応力集中が生じるので,たわみ性の大きい伸縮継手(可とう継手)を使用することが必要である。
3 地盤改良には,砕石などの透水性の高いもので置換する工法や浅層部をセメントなどで安定処理した上で置き換える工法などがある。
4 管種の選定にあたっては,管路全体が鎖構造となる鋳鉄管の使用を避けることが必要である。

解答と解説: 

答え--- 4
ダクタイル鋳鉄管のメカニカル継手には可とう性があり、鎖状の構造になる。地盤の変位や応力への対応はこの可とう性により吸収するので適している。ただ、抜けの心配もあるので留意する。


No47 下水道管路施設の耐震性確保に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 管きょの継手部のように引張りが生じる部位は,伸びやズレの生じない構造とする。
2 マンホールの側塊などのせん断力を受ける部位は,ズレが生じない構造か土砂がマンホール内に流入しない程度のズレを許容する構造とする。
3 マンホールと管きょの接続部や管きょと管きょの継手部のような曲げの生じる部位については,可とう性を有する継手部の材質や構造で対応する。
4 液状化時の過剰間隙水圧による浮上がり,沈下,側方流動などに対しては,管路周辺に砕石などによる埋戻しやマンホール周辺を固化改良土などで埋め戻す対策が有効である。

解答と解説: 

答え--- 1
管きょの継手部のように引張りが生じるなら、伸びやズレが生じるようにする。

No48 小口径管推進工法の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 圧入方式は,誘導管推進時の推進途中で時間をおくと土質によっては推進が不可能となる場合があるので,推進の中途では中断せずに一気に到達させなければならない。
2 オーガ方式は,粘性土地盤の推進中に先導体ヘッド部に土が付着し先端抵抗力が急増する場合があるので,注水などにより切羽部の土を軟弱にするなどの対策が必要である。
3 泥水方式は,透水性の高い緩い地盤に適用する場合,泥水圧が有効に切羽に作用しない場合があるので,切羽の安定をはかるために送泥水の粘性を低くするなどの対策が必要である。
4 ボーリング方式は,先導体前面が開放しているので地下水位以下の砂質土地盤に適用する場合は補助工法の使用を前提とし,取り込み土量の管理は特に注意しなければならない。

解答と解説: 

答え--- 3
透水性の高い緩い地盤であれば、送泥水の粘性は高くする必要がある。


No49 薬液注入の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 砂質系地盤では,土粒子の間隙に注入材料が浸透固化し,それが接着材となることで崩壊が起こり難くなり透水性も低下するので,掘削面への湧水を防止できる。
2 粘性土では,注入された薬液は土粒子の間隙に浸透できずに割裂の形態となるため,脈状に固化した薬液と圧縮された土の複合的効果で強度は増加する。
3 礫や玉石層などでは,最初に安価で強度のある溶液型を使用して粗詰めし,その後礫や砂の間隙に懸濁型の浸透注入を行う2段階の注入が必要となる。
4 埋戻し後の時間経過が少なく十分締固まっていない砂地盤では,効果的な注入を行うためカバーロックなどをしっかり行い,注入速度を遅くするなどの特別な工夫を行う。

解答と解説: 

答え--- 3
礫や玉石層では,大きな間隙が存在するため,この部分をまず安価で強度のでる懸濁型の薬液で粗詰めし,その後,礫や玉石の間隙を埋める砂には溶液型の薬液で浸透注入を行う2段階の注入が必要である。

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平成24年度1級土木施工管理技士
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