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安衛規第332条では「ボイラの胴内部のように導電休で囲まれた場所で著しく狭あいな所,または墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある高さが2m以上の場所で鉄骨など導電性の高い接地物に労働者が接触するおそれのある所で交流アーク溶接を行うときは,交流アーク溶接機用電撃防止装置を使用しなければならない」と規定している。
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交流アーク溶接機用電撃防止装置-アークを発生させていない状態での二次側電圧を無負荷電圧といい,この無負荷電圧が高いほどアークが安定し,溶接作業は容易となる。しかし,それがあまりに高いと,うっかりして無負荷状態のホルダ,溶接棒などに触れて電撃を受ける危険性が大きくなる。この電圧を最も危険な無負荷時に25V以下に保っておき,起動時のみ所定の電圧が発生するように電圧制御するのがこの装置である。 |
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床が油で汚れている所ではアーク溶接の二次側配線には外装に天然ゴムを使用していないJISに規定されている溶接用ケーブルに適合するものか,または2種以上のキャプタイヤケーブルを使用する。また,その外装の損傷の有無に絶えず注意する。 |
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帰線用の配線にもホルダ側と同じ電流が流れるので,使用ケーブルの太さはホルダ側と同じにする。太さが不足すると被覆が過熱して絶縁が劣化し,漏電の危険が生ずる。 |
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溶接棒ホルダは,充電部分の露出しない絶縁形で,電撃事故防止のため,溶接棒をくわえる部分以外はすべて絶縁物で覆われているものでなければならない。 |
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帰線用ケーブルは,接続用金物により母体に密着するように取り付ける。直接母体に巻き付けると,その部分の接触が不十分な場合,接触抵抗が増大し,過熱から火災を起こす危険がある。 |
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回路の帰線側には溶接機端子部分で必ず直接接地しなければならない。接地しないと母機や定盤の対地圧が上昇して感電の危険がある。 |
7. |
遮光保護具を使用して目を保護する。遮光保護具は溶接アークから発する有害光線(紫外線は結膜と角膜を侵し,激痛を起こし,赤外線は網膜に達して白内障,失明を起すこともある)を遮断し,可視光線を適度の明るさにして作業を容易にする。 |
8. |
周囲の作業者を有害光線から守るため衝立て,遮光幕などを使用することが望ましい。 |
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溶接作業者および先手(助手)は絶対に皮膚は露出させないようにする。アーク光線が近距離で皮膚に当たると火傷現象を起こす。また,スパッタやスラグが飛んで火傷を起こす危険がある。 |
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アーク光線の遮断や発汗の激しい場合の感電防止用の保護手袋には皮革性が望ましい。発汗の激しい場合,皮手袋の下に軍手を着用するのも感電防止上有効である。 |
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安全靴は,足部の火傷や工具,材料の落下による負傷防止だけでなく,感電防止にも有効な構造のものを使用する。 |
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アーク溶接で発生するヒューム(目に見える煙の大部分)およびガス(主にC02とH20,鉄アークの高温時にはC0,NOも発生)から守るため,長時間作業,または狭い場所では換気に努め,適当なマスク類を使用する。 |
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溶接に際しては可燃物を遠ざけ,消火器を用意し,溶接対象物に付着している可燃物などもあらかじめ除去しておく。 |
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溶接作業では墜落による災害が非常に多いので,2m以上の高さでは次の事項を守るようにする。
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危険な動作や,無理な姿勢で作業をしない。 |
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鉄骨梁や足場上では安全帯(命綱)を使用する。 |
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滑りやすい覆物は避ける。 |
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不完全な踏台などは使用しない。 |
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