平成25年度 2級土木施工管理技術検定試験  種別:鋼構造物塗装 学科試験問題 Page1

※ 問題番号No.1〜No.18 までの18 問題のうちから16 問題を選択し解答してください。
解答及び解説で疑問を持ったら即調べてみましょう。
自分で調べた方が絶対に頭に入ります。
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No 01 鉄の湿食及び乾食に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
1 乾食は,高温状態で環境中の物質と反応して生じる腐食であり,そのほとんどが電気化学的反応である。
2 乾食には,代表的なものとして圧延時に鋼材表面にミルスケールが生成する現象があり,常温においてもその進行速度は速い。
3 湿食は,常温状態において水と酸素の存在下で生じる腐食であり,鉄がイオン化して水の中へ溶解する酸化物生成反応である。
4 湿食には,全面腐食と局部腐食があり,局部腐食は金属表面の状態の不均一あるいは環境の不均一により腐食が局部に集中して生じる現象で,腐食速度は全面腐食に比べ著しく増大する。

解答と解説: 

答え--- 4

湿食は液体中で材料が溶出するものである。全面腐食でも局部腐食と比べて著しく増大するというほどの腐食進行差はない。


No 02 鋼橋の防食方法に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
1 重防食塗装は,塗膜による環境遮断とジンクリッチペイントによる防食法であり,色彩選択の自由度が高いため周辺景観との調和を乱すことがある。
2 耐候性鋼材は,鋼材表面に保護性さびを形成させることでそれ以降のさびの進展が抑制され,結果的に鋼材の腐食による板厚減少を抑制させるものである。
3 溶融亜鉛めっきは,亜鉛皮膜による環境遮断と亜鉛による防食法であり,めっき処理槽による寸法制限と熱ひずみ対策が必要で,塗装との複合防食はできない。
4 金属溶射は,溶射皮膜による環境遮断と亜鉛やアルミニウムなどによる防食法であり,金属溶射皮膜は多孔質のため封孔処理を施す必要はほとんどない。

解答と解説: 

答え--- 2

耐候性鋼材はさび層により保護層を生成することで保護するだけで、腐食による板厚減少を抑制させるものではない。



No 03 環境と腐食に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 道路橋に対する飛来塩分の影響の程度は,通常離岸距離で代表させているが,地理的・地形的な要因や橋梁各部の構造的要因の影響はほとんどない。
2 海岸部において鋼材がさびやすいのは,飛沫化した海水により大気中にもたらされた塩分が鋼材表面に付着して腐食反応を促進するためである。
3 岩塩や塩化カルシウムなどの凍結防止剤を散布する路線は,スパイクタイヤが禁止されてから散布量が増加しており,凍結防止剤に対する配慮も重要である。
4 塩分は,潮解性があり空気中の水分を吸収して溶液になりやすく,その溶液は強電解質であり,電気伝導度を大きくして鉄の腐食を促進する。

解答と解説: 

答え--- 1

飛来塩分の影響の程度は、地理的・地形的な要因や橋梁各部の構造的要因の影響が大きい。


No 04 鋼橋の防食法の選定に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 架橋地点の環境条件は,現地を踏査し,日照,気温,塩分などの腐食促進因子と風向,離岸距離,凍結防止剤の散布などの地理的・地形的要因を把握する。
2 防食のライフサイクルコストは,防食の初期コストと防食の点検,部分補修(維持管理)コスト及び防食の全面補修コストより構成される。
3 防食法と仕様の選定は,各防食法の特性を把握した上で,架橋環境条件や周辺環境との調和,経済性,維持管理の条件などの防食の要求性能を考慮する。
4 防食法と仕様の選定は,鋼道路橋の使用目的から防食法への要求性能を幅広く検討し,防食の初期コストを一般塗装系より低減しなくてはならない。

解答と解説: 

答え--- 4

鋼橋の防食では、一般塗装系より防食の初期コストが高くなる。


No 05 維持管理における防食の点検に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 定期点検は,防食機構について劣化や損傷状況の程度を把握するとともに,健全度の評価,さらに詳細調査の必要性の有無など各種の判定も実施する。
2 防食の点検は,道路橋の場合,5年程度の間隔で定期的に実施される。
3 初期点検は,一般的に防食の施工品質が所要の品質を満足していなかった場合,1〜3年で著しい変状が現れ始めることが多いので,供用後5年程度の適切な時期に行う。
4 定期点検は,防食法とその仕様あるいは架橋地点の環境などに応じて適切な頻度と方法を定めて計画的に実施しなければならない。

解答と解説: 

答え--- 3

初期点検は供用後2年以内に実施し、定期点検は初期点検後5年ごとに実施。


No 06 防食の補修方法に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
 1 防食の補修には,部分的な補修を繰り返す方法(部分補修)と全面を一度に補修する方法(全面補修)があるが,どちらが有利かは鋼橋の使用目的やおかれた環境,採用されている防食法とその仕様などにより異なる。
 2 部分補修は,補修後に防食性能や外観は一様になるが,一般に施工設備が大がかりなものとなる。
 3 部分補修は,その範囲と内容を適切に設定しないと,補修した部分とそうでない部分の境界付近が弱点となったり,補修部分が早期に再劣化する場合もあるので注意が必要である。
 4 部分補修は,施工規模を小さくできるが,補修した部分とその他の部分で一般には防食性能に差が生じ,外観にも違いが生じやすい。
 

解答と解説: 

答え--- 2

防食の部分補修は、補修後に防食性能や外観を一様にするのは難しい。


No 07 耐候性鋼材に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 無塗装で用いる耐候性鋼材には,SMA 400W,SMA 490W やSMA 570W がある。
2 耐候性鋼材は,北海道・東北・北陸地方の日本海沿岸部では海岸線から10 kmを越える地域,太平洋沿岸部では海岸線より2kmを越える地域では,飛来塩分量を測定しなくても無塗装で使用できる。
3 耐候性鋼材への塩分の付着や長期間の滞水などは,保護性さびの形成を阻害する要因となるとともに,保護性さびが形成されるまでの期間に一様な色調が得られないことの原因となる。
4 耐候性鋼材の防食設計の基本は,鋼橋の架設環境や維持管理体制なども考慮して確実に保護性さびが形成されるように,使用鋼材の選定だけでなく,構造細部の検討も行う必要がある。

解答と解説: 

答え--- 2

北海道・東北・北陸地方の日本海沿岸部では海岸線から20 kmを越える地域であれば飛来塩分量の測定は省略できる。近畿〜九州の日本海沿岸で5km、瀬戸内海沿岸部で1kmである。


No 08 塗料の構成に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 樹脂は,顔料と練り合わされ,塗付され乾燥して塗膜を形成し,塗膜性能に与える影響が大きく,腐食環境や使用目的に応じて選定される。
2 添加剤は,塗料の乾燥を促進したり,顔料の沈殿を防いだり,塗付時の発泡や流れを防いだり,塗膜に平滑性を付与したりする。
3 顔料には,塗膜の着色のための着色顔料,防せい(錆)効果の付与を目的とする防せい(錆)顔料,塗膜の物性を制御したり,流動特性を変えて作業性を向上させる目的の体質顔料がある。
4 溶剤は,樹脂を溶解して流動性を与えるためのものであり,塗付後は塗膜を形成する主要成分であり,塗付時の作業性や塗膜の仕上りへの影響が大きい。

解答と解説: 

答え--- 4

溶剤は塗装後塗膜には残らない。塗付後は塗膜を形成する主要成分ではない。


No 09 防食下地に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
1 防食下地には,鋼材よりも卑な電位を持つ金属亜鉛末などの犠牲防食作用により鋼材の腐食反応を抑制する無機ジンクリッチペイントと有機ジンクリッチペイントがある。
2 無機ジンクリッチペイントは,塗膜が多孔質なため下塗り塗料を直接塗り重ねると発泡するので,下塗り塗料を希釈したミストコートを塗付して孔を埋めた後に下塗り塗料を塗付する。
3 無機ジンクリッチペイントは,さびや塗膜とは密着しないのでブラスト処理した鋼材面に塗付しなければならず,塗替え塗装に適用することは難しい。
4 有機ジンクリッチペイントは,無機ジンクリッチペイントより防せい(錆)効果が優れており,密着性がよい素地調整程度2種での塗替え塗装に適用できる。

解答と解説: 

答え--- 4

有機ジンクリッチペイントのほうが耐候性、耐溶剤性に欠ける。サビ発生を防止しても塗膜ふくれが発生する場合がある。


No.10 下塗り塗料に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
 1 下塗り塗料は,鋼材面,一次防せい(錆)プライマー,防食下地と密着して,水,酸素,塩類などの腐食因子の浸透を抑制して,鋼材の腐食反応を抑制する機能を有している。
 2 エポキシ樹脂塗料下塗や変性エポキシ樹脂塗料下塗などのエポキシ樹脂系下塗り塗料には,10℃以上で塗付する常温用と5℃未満で塗付する低温用がある。
 3 無溶剤形変性エポキシ樹脂塗料は,塗料粘度が高いため塗付作業が難しく,可使時間は1時間程度と短いが気温が30 ℃ 以上の場合は長くなる。
 4 鉛・クロムフリーさび止めペイントは,防せい(錆)顔料及びドライヤーに鉛・クロムなどの有害な重金属を使用していない,二液形さび止め塗料である。
 

解答と解説: 

答え--- 1

低温用でも5℃以下での塗装は避ける。低温用の可使温度が5℃で5分位内、10℃も低温用である。
無溶剤形変性エポキシ樹脂塗料は5℃〜30℃の温度時に塗装する。30℃の場合、可使時間は30分。
鉛・クロムフリーさび止めペイントは、一液形である。


No.11 現場連結部の塗装に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
 1 現場連結部は,塗料が付きにくく一般部に比べ塗膜の弱点となりやすいので防せい(錆)処理ボルトを用いるか,長期耐久性に必要な膜厚確保のため超厚膜形エポキシ樹脂塗料を用いる。
 2 連結部の現場塗装は,十分な養生を行いスプレー塗装が望ましいがはけ塗りを行う場合,下塗りの超厚膜形エポキシ樹脂塗料は,必要膜厚が1回では得られないので2回塗りする。
 3 防せい(錆)処理トルシアボルトのピンテール跡は,ピンテール跡が鋭利な形状をすることが多く塗膜が付きにくいので,ブラスト処理で平滑にする。
 4 現場溶接部の塗装範囲は,塗装品質を確保するために必要な範囲と溶接焼けの関係から,開先面から概ね10 cm 以内の部分とする。
 

解答と解説: 

答え--- 3

トルシアボルトのピンテール跡にブラスト処理は困難。一般的にはケレンにディスクグラインダーが用いられる。火花が飛び、鉄粉処理が必要な場合があるので専用のホルダーがあるグラインダーが存在している。


No.12 工場塗装の素地調整に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
 1 ブラスト処理では,研削材粒子が大きいほど仕上り表面の粗さが大きくなり,粗さが小さいと,その上に塗られる塗膜の耐久性が低下する。
 2 ブラスト処理された鋼材表面は,鋼砕粉などの研削材が食い込んでいるので,圧縮空気やワイヤーブラシなどを併用して清掃し除去する。
 3 ブラスト加工された鋼材表面は,さびの発生は遅いので,ブラスト後は1日〜2日以内に塗料を塗付すればよい。
 4 ブラスト処理は,相対湿度が低く,鋼材と気温の温度差が小さいとブラスト処理した鋼材表面に赤さびが浮き上がるターニング現象が生じるので,湿度が低いときは行わない。
   

解答と解説: 

答え--- 2

粗さが大きいと,その上に塗られる塗膜の耐久性が低下する。
ブラスト加工された鋼材表面は,さびの発生が早い。
ブラスト処理はターニング現象が生じるので,湿度が高いときは行わない。



No.13 現場塗替え塗装作業に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
 1 旧塗膜上に50 mg/m2以上の塩分が付着していると,塗装後早期に塗膜欠陥を生じやすいので,水洗などにより塩分が50 mg/m2以下になるまで除去する。
 2 塗替え塗装は,スプレー塗装とするのがよいが,先行塗装や狭あい部などスプレー塗装が十分に行えない部位には,はけ塗り又はローラー塗りを行う。
 3 素地調整程度2種は,手工具で塗膜及びさびを全面除去して鋼材面を露出させるものであり,作業に要する時間が長く費用も高くなるので実用的ではない。
 4 塗装は素地調整終了後,同日中に必ず下塗り又は補修塗りを行うが,当日中に塗装できなかった場合には,翌日あらためて素地調整を行ってから塗装しなければならない。
 

解答と解説: 

答え--- 3

塗膜及びさびを全面除去して鋼材面を露出させるのは素地調整程度1種である。又、手作業では現実的に困難なのでショットブラストなどが用いられる。


No.14 塗付方法と塗重ね時間に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
 1 現場塗装で広い平滑面をはけ塗りする場合には,ローラーブラシを併用してもよいが,塗料によってはローラー目やあわなどを生じやすいので,ローラーの選定や施工に十分注意する。
 2 塗装間隔が短いと下層の未乾燥塗膜は,塗り重ねた塗料の溶剤によって膨潤してしわを生じやすくなる。
 3 工場塗装におけるエアレススプレー塗装では,小物部材や部材の凹凸部,エッジ部などで塗料の飛散が多く塗膜が薄くなりやすいので,はけで先行塗装するとよい。
 4 塗装間隔が長い場合は,下層塗膜の乾燥硬化が進み,上に塗り重ねる塗料との密着性は低下し,後日塗膜に割れが生じやすくなる。
   

解答と解説: 

答え--- 4

塗装間隔が長い場合は、後日塗膜間で層間はく離が生じやすくなる。



No.15 塗装の塗付作業に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
 1 はけ塗りは,上方から下方に向かって進めるのが原則であり,はけ目も上から下へ通すようにする。
 2 はけ塗りは,手作業による簡便な方法である反面,塗装品質が塗装工の技能に左右され,技能が劣る場合は塗膜厚が不均一になったり,塗り残し,はけ目,ながれなどの欠陥が生じるおそれがある。
 3 エアレススプレー塗りは,霧状化した塗料が飛散しやすく,塗料の飛散による損失量ははけ塗りに比べて多く,平坦でない面や細物部材への塗付作業では損失が大きい。
 4 エアレススプレー塗りは,吹き付け距離,吹き付けガンの運行速度,塗料圧力,ノズルチップの選定などに注意して効率的に行う。
   

解答と解説: 

答え--- 1

刷毛塗りは、上から下へ塗った後、左右方向へ塗り、最後に下から上へ刷毛目を整えるように塗る。


No.16 塗膜の劣化に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
 1 膨れは,塗膜の層間や鋼材面と塗膜の間に発生する気体又は液体による圧力が,塗膜の付着力や凝集力より大きくなった場合に発生し,浸水又は低湿度条件で起こりやすい。
 2 はがれ(はく離)は,塗膜と鋼材面あるいは塗膜と塗膜の間の付着力が低下した時に生じるので,被塗面への塩分の付着が原因となることはない。
 3 変退色は,主として顔料の安定性に起因し,使用する顔料の紫外線,熱,酸やアルカリなどに対する耐久性によって左右され,ビヒクル(塗料の液相の構成成分)の種類によっても異なる。
 4 さびは,その分布状態が全面的に均等に分布している場合や,部分的に密集している場合があるが,糸状に密集することはない。
 

解答と解説: 

答え--- 3

膨れは、外部からの液体侵入、内部に含まれたガス、サビの発生などにより起こる。低湿度条件では起こりにくい。
はがれは、素地調整の不良により油脂、埃、水分、塩分が付着していると発生する。
さびは、分布状態も全面的に均等に分布している場合、部分的に密集している場合、糸状に密集している場合などがある。


No.17 タッチアップ塗装に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
 1 タッチアップ塗装とは,部材の運搬中,架設中あるいは作業足場の撤去時に,塗膜が局部的に損傷を受け,その部分をはけで補修を行うことをいう。
 2 鋼材面が露出している場合のタッチアップ塗装は,素地調整後に,無機ジンクリッチペイントを下塗りし中塗りや上塗りは仕様塗装を用いて行う。
 3 傷が中塗りまである損傷部のタッチアップ塗装は,損傷部とその周辺の塗装面にサンドペーパーがけなどの処理をし,ふっ素樹脂塗料上塗で上塗りを行う。
 4 傷が下塗りからの損傷部のタッチアップ塗装は,損傷部とその塗装面にサンドペーパーがけなどの処理をし,超厚膜形エポキシ樹脂塗料を中塗りし,ふっ素樹脂塗料上塗で上塗りを行う。
   

解答と解説: 

答え--- 2

有機ジンクリッチペイントでタッチアップするもの


No.18 素地調整の施工に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
 1 素地調整程度1種は,さび,旧塗膜を完全に除去し鋼材面を露出させるものである。
 2 素地調整程度2種は,さび,旧塗膜を除去し鋼材面を露出させるものである。
 3 素地調整程度3種Aは,活膜は残すが不良部(さび,割れ,膨れ)を除去するものである。
 4 素地調整程度4種は,不良部(さび,割れ,膨れ)などを除去するものである。
   

解答と解説: 

答え--- 4

素地調整程度4種は、ワイヤブラシ等の手工具でサビを落とし洗浄する程度。粉化物・付着物を落とし、活膜を残す。


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