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※ 問題番号No.1〜No.18 までの18 問題のうちから16 問題を選択し解答してください。


No1 鋼材の防食法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
1 表面被覆には、塗装などの有機材料被覆と金属溶射などの金属材料被覆がある。
2 耐食性金属材料には、ステンレス鋼材などの高合金鋼材、耐候性鋼材などの低合金鋼材及びチタンなどの非鉄金属材料がある。
3 箱桁は、水分が浸入すると帯水や結露を生じやすく、湿気がこもり腐食しやすい環境になる。
4 電気防食には、カソード防食法とアノード防食法があり、カソード防食法には、内部電源方式と外部電源方式がある。

解答と解説: 

答え--- 4
電気防食法には陰極防食法(カソード防食法)と陽極防食法(アノード防食法)がある。通常のカソード防食法は外部電源方式である。流電陽極方式はとアノード防食法である。


No2 鋼材の腐食形態と分類に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
1 全面腐食は、鋼材表面状態が均一で均質な環境にさらされている場合、全面が均一に腐食する現象であり、腐食速度は速く、短時間で構造物に重大な悪影響を及ぼす。
2 局部腐食は、鋼材表面状態の不均一又は環境の不均一によって、腐食が局部に集中して生じる現象であり、異種金属接触腐食、孔食、隙間腐食がある。
3 孔食は、普通鋼などの不働態皮膜を形成した金属に発生しやすく、不働態皮膜が塩化物イオンによって局所的に破壊され、そこがアノードとなり腐食が進行して孔が形成される。
4 隙間腐食は、鋼板の重ね合わせ部やボルトの下など、金属同士の接触部の隙間部分で隙間内部と外部で濃淡電池が形成され、外部がアノード、内部がカソードとなり腐食が進行する。

解答と解説: 

答え--- 2
全面腐食の腐食速度は遅い。孔食は、ステンレス鋼やアルミ合金など不働態皮膜を形成した金属に発生しやすい。普通鋼は不働態皮膜を形成しにくいので誤り。隙間腐食では内部側がアノード部となり、酸素濃淡電池の電位差で隙間に蓄積された塩化物イオンにより局部腐食する。


No3 鋼橋の防食法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
1 金属溶射は、鋼材表面に形成した溶射皮膜が、腐食因子の酸素と水及び腐食促進因子の塩類などを遮断すると共に、溶射材料の不動態皮膜で防食性能の向上をはかった防食法である。
2 塗装は、鋼材表面に形成した塗膜が、腐食因子の酸素と水及び腐食促進因子の塩類などを遮断する防食法である。
3 溶融亜鉛めっきは、鋼材表面に形成した亜鉛皮膜が、腐食因子の酸素と水及び腐食促進因子の塩類などを遮断する防食法である。
4 耐候性鋼材は、鋼材表面に形成される緻密なさび層によって、腐食因子の酸素と水から鋼材を保護し、さびの進展を抑制する防食法である。

解答と解説: 

答え--- 1
金属溶射は、鋼材(鉄)より卑な電位の金属である亜鉛、アルミニウムなどを溶融し、圧縮空気などで微粒子化して吹き付けて皮膜を形成させる表面被覆法であり、不動態皮膜を形成するものではない。


No4 環境と腐食に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
1 腐食環境の分類区分は、飛来塩分の影響を受ける海岸部の鋼材腐食量が他の地域に比べて著しく大きいため、飛来塩分の影響の程度によって行われる。
2 塩分が付着した部位は、塩分が潮解性があり空気中の水蒸気を吸って溶液になりやすく湿った状態になり、塩分が強電解質であるため水の電気伝導度を大きくして腐食を促進させる。
3 海岸部において鋼材がさびやすいのは、飛沫化した海水によって大気中にもたらされた塩分が鋼材表面に付着して腐食反応を促進するためである。
4 飛来塩分の影響は、地理的・地形的な要因の影響が比較的大きいが、降雨による濃縮作用の有無や閉塞部などで結露が生じるなどの構造的要因の影響も受ける。

解答と解説: 

答え--- 4
飛来塩分の影響は、地理的・地形的な要因の影響が最も大きい。その他構造的要因は若干である。又、降雨による洗い流し効果は塩分の除去に有効である。最近は冬季の融雪剤の散布量が多く、その塩害も重要な問題である。


No5 塗装の維持管理に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
1 日常の維持管理における防水対策としては、伸縮装置の非排水機能の補修、下部構造天端の堆積物を除去するなどの鋼材腐食環境の改善が重要である。
2 当初想定した防食機能や耐久性を十分に発揮できなかった場合には、原因を究明するとともに補修防食法の選定に反映する必要がある。
3 初回点検は、環境への適正やその後の維持管理を効率的に行うための初期状態を把握するために、供用後適切な時期に行うのがよい。
4 部分補修は、施工規模を小さくでき施工も容易な場合が多いが、補修した部分とそのほかの部分で一般には防食性能に差が生じにくい。

解答と解説: 

答え--- 4
部分補修だと補修箇所とその他の箇所で防食性能の差が生じやすい。




No6 鋼橋における防食の補修方法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
1 防食の補修には、部分的な補修を繰り返す方法(部分補修)と全面を一度に補修する方法(全面補修)がある。
2 一般塗装から重防食塗装に変更する場合、旧塗膜との密着性が十分に確保されていることが必要であるため、これに配慮して旧塗膜の除去方法とその程度について決定する必要がある。
3 飛来塩分などによって腐食が進行した場合、塩分の除去は一般に大掛かりとなることから、補修時期を早めてさび層内に塩分が食い込む前に全面補修を繰り返す方が経済的な場合もある。
4 深い断面欠損部のさびを十分に除去できなかった動力工具による素地調整では、塗膜に早期の変状が確認されている。

解答と解説: 

答え--- 3
飛来塩分の腐食防止には日頃からの塩分の除去(水洗い)が重要。前面補修は仮設費用含めて大掛かりであり、普段の手入れのほうが重要。

No7 鋼橋の耐候性鋼材に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
1 耐候性鋼材の防食設計の基本は、鋼橋の架設環境や維持管理体制なども十分考慮して確実に緻密なさび層が形成されるように使用鋼材の選定や構造細部の検討を行う必要がある。
2 ニッケル系高耐候性鋼材は、JIS耐候性鋼材に比べて環境の厳しい条件で使用されることを想定して開発されたため、排水装置の欠陥や局部的に湿気がこもるなどで局部環境の影響を受けにくい。
3 桁端部は防食上の弱点となりやすいので、地面との空間が取れずに風通しが悪く良好な環境が望めない範囲の部位には、塗装など別途の防食法を施すのがよい。
4 構造設計上の留意点には、部材の位置関係や空間的な条件から耐候性鋼材に適した環境となりにくい箇所への配慮や、滞水しやすい構造となる箇所への配慮がある。

解答と解説: 

答え--- 2
ニッケル系高耐候性鋼材は、サビに強いが局部環境の影響は他の材と同様に影響を受ける。


No8 プライマーに関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
 
1 長ばく形エッチングプライマーは、二液形塗料で主剤はビニルブチラール樹脂と防せい顔料などを主成分とし、鋼材の溶接、溶断へ影響が大きい。
2 無機ジンクリッチプライマーは、亜鉛を主成分とする粉末とケイ酸塩を主成分とする液とからなる一液一粉末の塗料である。
3 無機ジンクリッチプライマーは、鋼材面への優れた密着性を有し半年程度の屋外暴露に耐える。
4 一次防せいプライマーは、原板ブラスト処理した直後から工場製作の間の鋼材の発せいを防ぐために塗装される速乾性の塗料である。

解答と解説: 

答え--- 1
エッチングプライマーは、通常は溶断溶接性があり、影響は殆ど無い。


No9 防食下地に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 
1 無機ジンクリッチペイントは、亜鉛の電気防食作用による強い防せい力を有し、鋼材と接する第1層に使用される。
2 有機ジンクリッチペイントは、亜鉛とエポキシ樹脂からなる主剤と硬化剤を用いる二液一粉末形又は二液形の塗料である。
3 無機ジンクリッチペイントは、塗膜厚が大きいほど防せい効果の持続期間は長くなるため、塗替え塗装には最適である。
4 有機ジンクリッチペイントは、無機ジンクリッチペイントより防せい効果が優れており、動力工具で素地調整を行った鋼材面にも塗付できる。

解答と解説: 

答え--- 2
ジンクリッチペイントは、亜鉛末の電気防食作用を基本とする塗料である。防せい効果は無機のほうが有機より優れている。通常1層目はプライマー塗布である。


No10 下塗り塗料に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
 
1 鉛・クロムフリーさび止めペイントは、合成樹脂ワニスを主剤とする一液形さび止め塗料であり、防せい顔料及びドライヤーに鉛・クロムなどの有害重金属を使用していない。
2 変性エポキシ樹脂塗料内面用は、エポキシ樹脂塗料をほかの樹脂で変性して耐水性を向上させたものであり、グースアスファルト舗設時の温度にも耐えるので鋼床版裏面にも適用できる。
3 変性エポキシ樹脂塗料下塗りは、エポキシ樹脂を変性して密着性を向上させた塗料で、十分乾燥した塗膜であればフタル酸樹脂塗料などの塗膜の上にも塗り重ねることができる。
4 エポキシ樹脂塗料下塗りは、密着性、耐水性、耐薬品性がよく、主剤と硬化剤からなる二液形塗料で、酸化重合反応によって乾燥する。

解答と解説: 

答え--- 4
エポキシ樹脂塗料は酸素による酸化重合でなく、熱重合乾燥。




No11 中塗り・上塗り塗料に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
1 中塗り塗料は、下塗り塗膜の上に直接上塗り塗料を塗布する場合、下塗り塗膜の硬化が進んでいると上塗り塗料が密着せず、上塗り塗膜がはく離するため、上塗り塗料と反対色の密着性のよい塗料を塗布する。
2 中塗り塗料の樹脂には、硬化塗膜への密着性が優れ、下塗り及び上塗り塗料に用いる塗料との塗り重ねに支障のないものが用いられるが、上塗り塗料の樹脂と異なる樹脂を用いることも可能である。
3 上塗り塗膜は、酸性雨やコンクリートのアルカリ性に耐える耐食性が必要である。
4 上塗り塗料は、美観上の配慮から塗膜の色相や光沢を長期間保持する場合、耐候性に優れた樹脂を選定するとともに、体質顔料の性質も十分検討する必要がある。

解答と解説: 

答え--- 2
上塗り塗料は基本的に十分に乾燥した下地の上に塗る。生乾きでは塗らない。上塗り塗膜の性能にコンクリートの耐アルカリ性能は求められない。体質顔料の性質は増量剤、施工性改善などの混和剤なので美観の配慮などの理由とは直接的な関係は薄い。


No12 環境にやさしい塗料に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
1 弱溶剤形塗料は、主な溶剤がミネラルスピリットであり、溶解性が低いので旧塗膜を侵しにくく、溶剤臭は強いが光化学スモッグの原因となるVOC(揮発性有機化合物)が少ない。
2 低溶剤形塗料は、ハイソリッド塗料とも呼ばれ、溶剤分が少なく、超厚膜形塗料などとして橋梁に適用された実績がある。
3 水性塗料は、水で希釈できる塗料であり、エマルション塗料から水溶性塗料まで種類が多く、VOCの低減には非常に有利であるが、防食性能、施工性、経済性の観点から実績が少ない。
4 無溶剤形塗料は、溶剤を全く含まない塗料で、箱桁や鋼製橋脚の内面用として用いられるが、塗料粘度が高く塗付作業が難しく、作業者によっては硬化剤でかぶれることがある。

解答と解説: 

答え--- 1
弱溶剤形塗料とは強いトルエン系溶剤でなく、石油系の溶剤の場合をいう。ミネラルスピリットも石油系であるが揮発性有機化合物である。


No13 現場での素地調整に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
1 塗替え塗装における素地調整は、旧塗膜の硬化が進み劣化現象が広範囲に発生しているため、塗付面を清浄かつ平滑にして塗料の密着を良くし塗膜の防せい効果を高めるために行う。
2 付着塩分は、海塩粒子の飛来、凍結防止剤や飼料の散布などに起因し、海岸からの距離が遠い場合でも付着していることがある。
3 古い橋で部材の角部に面取りや曲面仕上げが行われていないものは、膜厚が確保されるように新設時と同様の角部の処置を行う必要がある。
4 旧塗膜上に付着した塩分を高圧水洗いなどで除去する場合には、排出水は回収して循環使用する。

解答と解説: 

答え--- 3
塩分を洗い流した水を循環使用しない。塗替え工事時は塗膜の劣化より、サビの進行度合いが重要。アビ等が発生していれば除去する。凍結防止剤は散布するが、飼料は散布しない。


No14 鋼橋の溶融亜鉛めっき面の塗装に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
1 溶融亜鉛めっきを施した上に塗装を施工する目的には、景観調和のための塗装、補修困難な構造物への耐久性の付与、厳しい腐食環境における長期耐久性の保持がある。
2 溶融亜鉛めっき面塗装の前処理のりん酸塩処理は、塗膜の密着性は優れているが、処理費用は高価で処理できる寸法や重量に制約がある。
3 新設溶融亜鉛めっき面用外面塗装仕様の上塗塗料(第3層)は、ふっ素樹脂塗料上塗である。
4 スイープブラスト処理は、表面粗度を確保することで溶融亜鉛めっきの内部応力による付着力の低下を防ぎ、長期の安定した密着性を確保するのに有効な方法である。

解答と解説: 

答え--- 4
スイープブラスト処理は、めっき表面の付着物を高度に除去するとともに、表面粗度を確保するので、プライマー塗膜の内部応力(縮重合)による密着低下を防止する。


No15 鋼橋における溶接部の塗装に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
1 現場溶接部近傍は、溶接や予熱による熱影響で塗膜劣化する可能性があるので工場では未塗装とする。
2 現場溶接部は、一般部と比べて劣化が早い事例が多く、素地調整についてはブラスト処理では十分に行うことができないので、動力工具処理が原則である。
3 現場溶接部の塗装は、スプレー塗装が望ましく、塗装に当たっては十分な換気が必要である。
4 現場溶接部近傍の未塗装範囲は、発せい対策のため無機ジンクリッチプライマー又は無機ジンクリッチペイント塗付することが望ましい。

解答と解説: 

答え--- 2
ディスクサンダー等の動力工具を使用しての処理も行うが、どうしても隙間などで処理不良が生じる。よって現場ブラスト処理が原則である。動力工具はその補助として使用する。





No16 鋼橋に使用する塗料の乾燥機構に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
1 縮合重合反応では、主剤と硬化剤との化学反応によって塗料が硬化し塗膜が形成される。
2 付加重合反応形塗料には、特に硬化が速いエポキシ樹脂塗料やふっ素樹脂塗料などがある。
3 橋のような大型の構造物の塗装には、部材が大きく強制乾燥することが困難なことなどの理由から、自然乾燥型の塗料が使用される。
4 酸化重合反応では、空気中の酸素と反応して硬化するので、塗膜の表面が最も速く乾燥する。

解答と解説: 

答え--- 1
主剤と硬化剤との化学反応は重合乾燥によるものである。縮合重合は水が取れていく反応である。


No17 鋼橋塗装の気象条件による塗付作業に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
1 相対湿度が高い場合は、結露が生じやすく、結露した面に塗料を塗装すると塗膜はく離の原因になったり、水分が塗料中に混入するとはじきの原因となる。
2 変性エポキシ樹脂塗料内面用は、相対湿度80%、気温25 ℃の場合塗装を行ってよい。
3 低温用の無溶剤形変性エポキシ樹脂塗料は、相対湿度80 %、気温25 ℃の場合塗装を行ってよい。
4 無機ジンクリッチペイントのように樹脂の加水分解によって乾燥するタイプの塗料は、相対湿度が低すぎると硬化不良を生じる。

解答と解説: 

答え--- 3
低温用の無溶剤形変性エポキシ樹脂塗料の作業温度の範囲は5℃〜20℃まで。20℃以上は作業禁止である。また、湿度は85%以上が作業禁止。



No18 鋼橋の現場塗装における留意点に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
1 塗替え塗装のように目標値自体が測定点ごとに異なる可能性が高い場合は、新設塗装の乾燥塗膜厚の管理基準値を適用することはできない。
2 部分塗替えを行う場合は、素地調整を行わない部分に塗料を塗付することによって生じる付着不良などを防止するため、塗替え範囲を粘着テープで区画する必要がある。
3 動力工具や手工具で素地調整を行った面は、塗膜残存部、鋼材面露出部とも素地調整の仕上り状態が部分によって異なる。
4 ローラー塗りは、凹凸の著しい面には適用しやすい方法であるが、ローラーカバーの選定やローラーの運行に十分注意する。

解答と解説: 

答え--- 4
凹凸の著しい面には吹付けが適する。ローラー塗りは、塗装面が平滑でなければ採用しない。


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2級土木施工管理技術検定
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