市街地建築物法施行規則

市街地建築物法施行規則 現代文へ訳します
市街地建築物法
市街地建築物法施行令
戦時特例
市街地建築物法施行規則
第1章
通則
第2章
建築物の突出部
第3章
構造設備
第1節
一般構造設備
第2節
構造強度

第1〜第4
構造強度
第5〜第7
第4章
第5章
第6章
市街地建築物法施行細則
東京都
大阪府
京都府
神奈川県
愛知県
兵庫県

第三章 建築物ノ構造設備 第三章 建築物の構造設備
第一節 一般構造設備 第一節 一般構造設備
第七條 (敷地の衛生) 第7条
建築物ノ敷地ハ其ノ接スル道路境界ニ於ケル路面ヨリ高カラシムヘシ但シ建築物ノ用途又ハ土地ノ状況ニ依リ地方長官本條ノ規定二依り難シト認メ又ハ必要シナト認メタル場合ハ此ノ限リ在ラス

建築物の敷地はその接する道路境界における路面より高くすること。ただし建築物の用途又は土地の状況により地方長官が支障なしと認め、又は必要なしと認めた場合はこの限りでない。(現法第19条1項に同じ)
第八條 (敷地が湿潤な場合の命令)
建築物ノ敷地濕潤ナルトキ又ハ出水汎濫ノ虞アルモノナルトキハ地方長官其ノ地盤面ノ地揚高又ハ建築物ノ床高二關シ必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得

第8条
建築物の敷地が湿潤なとき又は出水氾濫のおそれがあるときは、地方長官はその地盤面の地上げ高又は建築物の床高に関し、必要な命令を発し又は処分をすることができる。(現法第19条2項類似)
第九條 (敷地の排水)
建築物ノ敷地ニハ其ノ敷地内ニ於ケル雨水及汚水ヲ排泄又ハ處理スヘキ適當ナル設備ヲ爲スヘシ

第9条
建築物の敷地にはその敷地内における雨水及び汚水を排泄又は処理すべき適当な設備を設けること。(現法第19条3項類似)
第十條 (下水管等の材料)
下水溝、下水管、溜桝ノ類ハ耐水材料又ハ地方長官ノ承認スル材料ヲ以テ構造スヘシ

第10条
下水溝、下水管、溜桝の類は耐水材料又は、地方長官の承認する材料にて構造とすること。
第十一條 (汚物溜枡等の構造)
便所、畜舎等ヨリ排出スル汚物ニ對シ汚物溜ヲ設ケムトスルトキハ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ

2
汚物溜ハ耐水材料ヲ以テ構造シ適當ナ防水装置ヲ施シ且覆蓋皿ヲ設クヘシ

第11条
便所、畜舎等より排出する汚物に対し汚物溜めを設けるときは、地方長官の許可を受けること

2項 
汚物溜めは耐水材料を用いた構造とし、適当な防水装置を施し、且つ覆い蓋皿を設けること
第十二條 (汚物の排水)
便所、畜舎等ヨリ排出スル汚物の地方長官ノ指定スル下水道ニ非サレハ之ニ放流スヘカラス但シ地方長官ノ承認スル汚物處理槽ヲ設クルトキハ此ノ限ニ在ラス

第12条
便所、畜舎等より排出する汚物の地方長官が指定する下水道でなければ放流してはならない。但し地方長官の承認する汚物処理槽を設けるときはこの限りでない。
第十三條 (汲み取り便所の構造)
汲取便所ノ構造ハ左ノ規定ニ依ルヘシ
一 
糞尿壼及尿樋ハ不滲透質ノ材料ヲ以テ造リ糞尿壼ノ上口周圍ハ厚三寸以上ノ「コンクリート」ヲ以テ漏斗状ニ作リ不滲透質ノ材料ヲ以テ上塗ヲ爲スコト

二 
床下ハ周圍ニ耐水材料ヲ以テ障壁ヲ設ケ他ノ部分ト遮斷スルコト

三 
汲取口ハ其ノ下端ヲ其ノ接スル地盤面ヨリ三寸以上高クシ且之ヲ直接道路二面セシメサルコト


第13条
汲み取り便所の構造は以下の規定によること
一 
糞尿壷及び尿樋は不浸透性の材料で造り、糞尿壷の上口周囲は熱さ3寸(9cm)以上のコンクリートをもって漏斗状に作り、不浸透性の材料にて上塗りをすること

二 
床下は周囲に耐水材料をもって障壁を設け他の部分と遮断すること

三 
汲み取り口は下端が接する地盤面より3寸(9cm)以上高くし、且つ直接道路に面して設けること
第十四條 (便所と井戸の距離)

井戸ト汲取便所及汚物溜トノ距離ハ三間以上ヲ有セシムヘシ但シ地方長官其ノ構造設備又ハ土地ノ状況ニ依リ衛生上支障ナシト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラス

地方長官ハ井戸ノ位置、構造又ハ設備ニ關シ前項ノ外必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得

第14条
井戸と汲取便所及び汚物溜との距離は3間(5.46m)以上を確保すること。但し地方長官が構造設備又は土地の状況に依り衛生上支障なしと認めたときはこの限りでない。

2項 地方長官は井戸の位置、構造又は設備に関し前項の外必要な規定を設けることができる。
第十五條 (地盤と接する壁)
建築物ノ壁體ニシテ直接土壌ニ接觸スル部分ハ耐水材料ヲ以テ構造スヘシ但シ門、障塀其ノ他輕微ナルモノハ此ノ限二在ラス

第15条
建築物の外壁が直接土壌に接触する部分は、耐水材料を用いた構造とすること。ただし門、障塀その他軽微なものについてはこの限りでない。

第十六篠 (床下の防湿)
居室ノ床地盤面下ニ在ル建築物ニ在リテハ最下階ノ居室ノ床又ハ其ノ床下ハ耐水ヲ以テ構成シ其ノ壁體及床下ニハ適當ナル防濕方法ヲ施スヘシ

第16条
居室の床が地盤面下にある建築物については最下階の居室の床又は床下は耐水性のある構造とし、その壁及び床下には適当な防湿方法を施すこと。
第十七篠 (床下の防湿)
居室ノ床高ハ一尺五寸以上爲スヘシ但シ床又ハ床下ニ「コンクリート」叩其ノ他適當ナル防濕方法ヲ施シタルモノハ此ノ限二在ラス

2
居室ノ床木造ナルトキハ其ノ床下ニハ適當ナル換氣方法ヲ講スヘシ


第17条
居室の床高は1尺5寸(45cm)以上とすること。ただし床又は床下にコンクリートの叩きその他適当な防湿方法を施したときはこの限りでない。

2項 
居室の床が木造のときはその床下には抵当な換気方法を講ずること
第十八條 (居室の天井高)
居室ノ天井高ハ七尺以上ト爲スヘシ


第18条
居室の天井高は7尺(2.1m)以上とすること
第十九條 (居室の採光)
居室ハ其ノ室面積ノ十分ノ一以上ノ有効面積ヲ有スル窓又ハ之ニ代ルへキ採光面ヲ有スヘシ
第19条
居室は室面積の1/10以上の有効面積を有する窓又はこれに代わる採光面を有すること
この時代は用途別でなかったようですね。
2
前項ノ採光面幅三尺以上ノ縁側ヲ距ツル場合ハ其ノ採光面積ノニ分ノ一ヲ有効面積ト看做ス此ノ場合ニ於テ濡縁ハ縁側ト看做サス
2項 
前項の採光面幅3尺(90cm)以上の縁側がある場合は、その採光面積の1/2を有効面積とみなす。この場合において濡れ縁は縁側とはみなさない。
3
第一項ノ採光面積ハ左ノ各號ニ該當スル部分ニ限リ有効ナルモノト看做ス但シ道路、公園、廣場等ノ空地二面スルモノニ在リテハ此ノ限二在ラス


其ノ部分ヨリ直上屋根面(直上屋根面ナキトキハ壁頂迄以下同シ)ニ至ル高ハ住居地域内二於テハ其ノ面スル隣地境界線迄ノ水平距離ノ二倍半ヲ、商業地域内合ニ於テハ五倍ヲ、住居地域及商業地域外ニ於テハ四倍ヲ超過セサルコト


其ノ部分ヨリ直上屋根面ニ至ル高ハ住居地域内ニ於テハ同一敷地内ニ在ル對向壁迄ノ水平距離ノ二倍半ヲ、商業地域内ニ於テハ五倍ヲ、住居地域及商業地域外ニ於テハ四倍ヲ超過セサルコト
但シ其ノ部分ヲ含ム水平面ヨリ對向壁直上ノ屋根面ニ至ル高ハ住居地域内ニ於テハ對向壁迄ノ水平距離ノ二倍半ヲ、商業地域内ニ於テハ五倍ヲ、住居地域及商業地域外ニ於テハ四倍ヲ超過セサルトキハ此ノ限ニ在ラス
3項 
第1項の採光面積は次の各号に該当する部分に限り有効なものとみなす。ただし道路、公園、広場等の空地に面するものについてはこの限りでない。

1号 
その部分より直上屋根面(直上屋根面が無いときは、壁頂まで。以下同じ)に至る高さは住居地域においてはその面する隣地境界線までの水平距離の2.5倍、商業地域においては5倍、住居地域及び商業地域以外においては4倍を超えること。

2号 
その部分より直上屋根面に至る高さは住居地域内においては、同一敷地内にある対向いの壁までの水平距離の2.5倍、商業地域内においては5倍、住居地域及び商業地域以外においては4倍を超えること。
ただしその部分を含む水平面より対向壁直上の屋根面に至る高さは住居地域においては対向壁までの水平距離の2.5倍を、商業地域内においては5倍を、住居地域及び商業地域以外においては4倍を超えるときはこの限りでない。
4
主トシテ住居ノ用ニ供スル建築物ニ在リテハ住居地域外ニ在ルモノト雖モ前項ノ適用ニ關シ住居地域内ニ在ルモノト看做ス
軒、庇其ノ他著シク採光ヲ妨クルモノアリト認メ又ハ衛生上特別ノ必要アリト認ムルトキハ地方長官ハ採光面ニ關シ特ニ其ノ面積ノ揄チヲ命スルコトヲ得
4項 
主として居住の用に供する建築物については住居地域外にあるものといえども、前項の適用に関し住居地域内にあるものとみなす。
軒、庇その他著しく採光面を妨げるものありと認め、又は衛生上特別な必要があると認めた場合は地方長官は採光面に関し特に面積の増加を命じることがある。
5
第一項ノ適用二於テ天窓ハ其ノ面積ヲ三倍ニ換算ス
5項 
第1項の適用において天窓はその面積の3倍に換算する。
6
第一項ノ面積二相當スル窓又ハ之ニ代ルヘキ採光面ノ都分ハ其ノ上端ヲ床面上五尺七寸以上ト爲スヘシ
6項 
第1項の面積に相当する窓又はこれに代わる採光面の部分はその上端を床面上5尺7寸(171cm)以上とすること
7
随時開放シ得ル襖、障子ノ類ヲ以テ仕切リタル二室ハ本條ノ適用ニ關シ之ヲ一室ト看倣ス

7項 
随時開放しえる襖、障子の類をもって仕切る2室は本条の適用に関しこれを1室とみなす。
第二十條 (居室の換気)
居室ニ於テハ直接外氣ニ面シテ室面積ノ二十分ノ一以上ニ相當スル面積ヲ開放シ得ヘカラシムヘシ但シ之ニ代ルヘキ適當ノ換氣装置アルトキハ此ノ限ニ在ラス

2
前條第五項、第七項及第八項ノ規定ハ本條ニ之ヲ準用ス

第20条
居室においては直接外気に面して室面積の1/20以上に相当する面積を開放し得ること。但しこれに代わるべき適当な換気装置があるときはこの限りでない。
2項
前条第5項、第7項、第8項の規定は本条に準用する。
第二十一條 (居室の特例)
特殊ノ用途ニ充ツル作業室ニシテ已ムヲ得サルモノハ地方長官ノ許可ヲ受ケ第十七條第十九條及第二十條ノ規定ニ依ラサルコトヲ得


第21条
特殊な用途に用いる作業室にして、規定を適用できないものについては、地方長官の許可を受けて第17条(防湿)第19条(採光)第20条(換気)の規定によらなくてもよい。

第二十二條 (浴室及び便所の窓)
浴室及便所ニハ採光換氣ノ爲直接外氣ニ面シ適當ナル窓ヲ設ケ又ハ之ニ代ルヘキ設備ヲ爲スヘシ
第22条
浴室及び便所には採光換気のための直接外気に面して適当な窓を設け、又はこれに代わるべき設備を設けること

第二十三條 (防疫上必要な設備)
地方長官ハ建築物ニ對シ防疫上必要ナル防鼠其ノ他ノ設備ヲ命スルコトヲ得


第23条
地方長官は建築物に対し防疫上必要な防鼠その他の設備を命じることが出来る。

第二十四條 (扉等の突出)
道路ニ面スル出入口及窓ノ扉ハ開閉ノ際雖モ建築線ヨリ突出セサル構造ト爲スヘシ但シ路面上十尺以上ニ在ルモノハ此ノ限ニ在ラス

第24条
道路に面する出入口及び窓の扉は開閉の際といえども、建築線より突出させる構造としてはならない。ただし路面上10尺(3m)以上にあるものはこの限りでない。


第二十五條 (階段の構造)
階段ノ構造ハ左ノ規定二依ルヘシ但シ避難階段其ノ他特殊ノ用途ニ供スルモノハ此ノ限ニ在ラス
一 
階段及踊場ノ幅ハ内法二尺五寸以上ト爲スコト
二 
蹴上七寸五分以下踏面五寸以上卜爲スコト
三 
高十五尺ヲ超ユルモノニ在リテハ高十五尺以内毎ニ踊場ヲ設クルコト
第25条
階段の構造は以下の規定によること。ただし、避難階段その他特殊な用途に供するものはこの限りでない。
1号 
階段及び踊り場の幅は内法2尺5寸(750mm)以上とすること。
2号 
蹴上げ7寸5分(22.5cm)以下、踏面5寸(15cm)以上とすること
3号 
高さ15尺(4.5m)を超えるものについては、高さ15尺(4.5m)以内ごとに踊り場を設けること
現在の建築基準法では用途ごとに仕様が異なっているが、当時は階段はこれが最低遵守すべき事項だったようです。
現在の住宅は蹴上げ23cm以下、踏面15cm以上ですから、この当時から変わっていませんが、踊り場の位置は現在は4m以内ごと(学校は3m以内)ですから、危険性があると判断されたようです。
2
階段ノ用途ニ依リ危險ナリト認ムルトキハ地方長官ハ前項ノ規定ニ拘ラス必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
2
階段の用途により危険だと認めたときは、地方長官は前項の規定にかかわらず必要な命令を発し、又は処分をすることができる。
第1項の規定では、小学校などは適していないのは当然ですから、望ましい階段にするように必要な命令を発し(つまり、施行細則などで)別途規定を設けることができるようです。


第二十六條 (保安上の命令)
地方長官保安上必要ト認ムルトキハ階段ノ設置ヲ命シ又ハ其ノ配置若ハ設備ノ變更ヲ命スルコトヲ得
第26条
地方長官は保安上必要と認めるときは階段の設置を命じ、又は配置もしくは設備の変更を命じることが出来る。

第二十七條 (屋根の構造)
屋根ハ耐火構造ニ非サルトキハ不燃材料ヲ以テ覆葺スヘシ但シ「モルタル」塗、漆喰塗ノ類ヲ以テ覆葺セムスルトキハ地方長官ノ許可ヲ受クヘシ
茶室、四阿ノ類ノ屋根又ハ輕微ナル庇ノ類ハ土地ノ状況ニ依リ地方長官ノ許可ヲ受ケ本條ノ規定ニ依ラサルコトヲ得
第27条
屋根を耐火構造にしないときは、不燃材料をもって噴くこと。ただし、モルタル塗り、漆喰塗り等にて覆うときは、地方長官の許可を受けること。
茶室、東屋(四阿)の類の屋根又は軽微な庇などの場合は、土地の状況により地方長官の許可を受け、本条の規定によることとする。
四阿とは「あずまや」のことだと解釈してください。

第二十八條 (小規模工作物の規定)
地方長官ハ物干、物見臺等屋上工作物二關シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
第28条
地方長官は物干し、物見塔、屋上工作物に関し必要な規定を設けることが出来る。
これらは細則で決めることができる事項のようです。
第二十九條 (防火壁)
建築面積二百坪以上ノ建築物ニハ建築面積二百坪以内毎ニ防火壁ヲ設クヘシ但シ外壁、床、屋根、柱及階段耐火構造ナルトキ又ハ地方長官其ノ用途ニ依リ巳ムヲ得スト認ムルトキ若ハ土地ノ状況ニ依リ特ニ支障ナシト認ムルトキハ此ノ限ニ在ラス
第29条
建築面積200坪以上(660m2)の建築物には、建築面積200坪以内毎に防火壁を設けること。
ただし、外壁、床、屋根及び階段を耐火構造とするとき、又は地方長官がその用途により、やむをえずと認めるとき、若しくは土地の状況により特に支障がないと認めるときはこの限りでない。
現在の建築基準法では、法26条の1,000m2ごとの規定や施行令114条による300m2ごとの隔壁規定、消防設備設置による緩和など多岐にわたっているが、この当時はシンプルですね。

第三十條 (防火壁の構造)
前條防火壁ノ構造ハ左ノ規定ニ依ルヘシ

耐火構造ト爲スコト

兩端ハ外壁ニ達スルコト但シ木造建築物ニ在リテハ之ニ近接スル木部ヨリ一尺以上屋外ニ突出セシムルコト

上端ハ屋根面ニ直角ニ測リ一尺五寸以上屋上ニ突出セシムルコト但シ耐火構造ノ屋根ニ在リテハ屋上二突出セシメサルコトヲ得

各開ロノ幅及高ハ九尺以下ニシテ甲種防火戸ノ設備ヲ有スルコト但シ特殊ノ用途二充ツル建築物二在リテハ地方長官ノ認可ヲ受ケ幅及高ヲ十二尺迄ト爲スコトヲ得
五 
凹壁溝ヲ設クル場合ト雖モ其ノ部分ノ壁厚ハ煉瓦造及石造二在リテハ七寸以上、鐵筋「コンクリート」造二在リテハ三寸五分以上ト爲スコト
第30条
前条防火壁の構造は以下の規定とすること
1号 
耐火構造とすること
2号 
両端は外壁に達すること。ただし木造建築物においてはこれに近接する木部より1尺(30cm)以上屋外に突出させること
3号 
上端は屋根面に直角に計り、1尺5寸(45cm)以上屋上に突出させること。ただし耐火構造の屋根においては屋上に突出させてもよい
4号 
各開口の幅及び高さは9尺(2.7m)以下とし、甲種防火戸の設備を有すること。ただし特殊な用途に使用する建築物においては地方長官の許可を受け幅及び高さを12尺(3.6m)までとすることができる。
5号 
窪み壁溝を設ける場合といえども、その部分の壁厚はレンガ造及び石造の場合は7寸(21cm)以上、鉄筋コンクリート造の場合は3.5寸(10.5cm)以上とすること

現在の施行令第113条では壁・屋根とも突出部は50cm以上です。
又、構造は自立が原則でレンガ造などの組積造は認められていません。

第三十一篠 (防火壁における命令)
防火壁アル建築物二於テ屋窓、装飾塔等ノ屋上突出部木造ニシテ延焼ノ虞アリト認ムルトキハ地方長官ハ其ノ構造二對シ防火上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第31条
防火壁がある建築物に於いて天窓、装飾等などの屋上突出部が木造にて延焼の恐れがあると認めるときは、地方長官はその構造に対し防火上必要な命令を発し、又は処分をすることができる。

第三十二條 (3階建ての防火壁の構造)
三階建ノ木造又ハ木骨造建物ノ防火壁ハ鐡筋「コンクリート」造又ハ鐵骨造ト爲スヘシ


第32条
3階建ての木造又は木骨造建物の防火壁は鉄筋コンクリート造又は鉄骨造とすること
第三十三條(壁付き暖炉の構造)
壁附煖爐ノ構造ハ左ノ規定二依ルヘシ
一 
爐胸ハ堅牢ナル基礎ノ上ニ築造シ木造建物ニ在リテハ上部ヲ積出シト爲ササルコト
二 
薪炭ヲ使用スル壁附煖爐ニ在リテハ焚口下及其ノ前方一尺以上左右各五寸以上ノ部分ノ床ヲ、其ノ他ノ壁附煖爐ニ在リテハ焚口下ノ部分ノ床ヲ不燃材料ニテ構造シ其ノ下方八寸以内ニハ燃質材料ヲ取付ケサルコト
三 
壁附煖爐ノ煙突ニシテ屋内二在ル部分ハ鐵筋「コンクリート」、石、煉瓦ノ類ヲ以テ構造シ外壁ノ厚ハ鐵筋「コンクリート」ニ在リテハ五寸以上、其ノ他二在リテハ七寸以上ト爲シ煙道ハ土管ヲ挿入シ又ハ「セメント、モルタル」ヲ以テ塗ルコト
四 
煙道ノ屈曲百ニ十度以内ナルトキハ其ノ屈曲部ニ掃除口ヲ設クルコト
第33条
壁付き暖炉の構造は以下の規定によること
1号 
暖炉は堅牢な基礎の上に築造し、木造建築物にあっては上部を積み出しとすること
2号 
薪炭を使用する壁付き暖炉においえは焚き口の下及びその前方1尺(30cm)以上左右各5寸(15cm)以上の部分の床を、その他の壁付き暖炉においては焚き口の下の部分の床を不燃材料の構造にし、下方8寸(24cm)以内には燃質材料を取り付けないこと
3号 
壁付き暖炉の煙突の室内にある部分は鉄筋コンクリート、石、レンガの類を用いた構造とし、外壁の厚さは鉄筋コンクリートについては5寸(15cm)以上、その他の部分については7寸(21cm)以上とし、煙道は土管を挿入するか、又はセメント、モルタルをもって塗ること
4号 
煙道の屈曲部が120度以内になるときは、その屈曲部に掃除口を設けること

この時代に、結構細かく規定されています。建築基準法では令115条の「煙突」と、H21告示225号(ただ、住宅などの内装仕上げについて)くらいしかありません。
当然、当時は開放型のみだったから火災防止の観点から必要なことだったのでしょうが、現在は材質その他様々なものが変わっていますから単純な比較は難しいでしょうね。
3号、4号は現在の令115条でも同様の記述あります。

第三十四條 (特殊な木造建築物の暖炉の構造)
三階建ノ木造又ハ木骨造建物ノ壁附煖爐ハ其ノ煖胸ヲ鐵筋「コンクリート」造又ハ鐵骨造ト爲スヘシ
第34条
3階建ての木造又は木骨造建物の壁付き暖炉はその暖胸は鉄筋コンクリート造又は鉄骨造とすること。
これは火災時に避難が大変だと想像される建物は不燃材料でもRC造又はS造とせよ。という規定です。石やレンガが不可ということは、地震などで崩れる恐れがあるからでしょうか?

第三十五條 (煙突の屋上の突出距離)
煖爐、竃、風呂竃ノ類ノ煙突ノ屋上突出部ハ其ノ最短部ニ於テ二尺以上ト爲スヘシ但シ煉瓦造又ハ石造ノ部分ハ補強ヲ爲ササル限リ三尺以上ト爲スヘカラス
第35条
暖炉、かまど、風呂釜の類の煙突の屋上突出部はその最短部より2尺(60cm)以上とすること。ただしレンガ造又は石造の部分は補強をしなければ3尺(90cm)以上としてはならない。
現在の建築基準法施行令第115条でも同様に60cm以上とする規定はあります。
レンガ造などの組石造は補強が前提の構造なので、現在ではわざわざ書いてないです。


第三十六條 (煙突の軒先よりの突出距離)
煙突ノ直上部ニ軒アルトキハ其ノ軒ヨリ更ニ二尺以上突出セシムヘシ煙突ト上方軒先トノ水平距離三尺未滿ナル卜キ亦同シ
第36条
煙突の直上部に軒があるときは、その軒よりさらに2尺(60cm)以上突出させること。煙突と上方軒先との水平距離3尺(90cm)未満のときも同様とする。
現在の建築基準法施行令第115条1項2号と同じですね。現行法では3尺が1mとなっていますが。

第三十七條 (煙突露出部の被覆)
金属製煙突ニシテ小屋裏、床裏等露出セサル位置ニ在ル部分ハ金属以外ノ不燃材料ヲ以テ被覆スヘシ
第37条
金属製煙突にて小屋裏、床裏等露出する位置にある部材は金属以外の不燃材料を用いて被覆すること。
これも建築基準法施行令第115条1項3号イに同じですが、H16告示第1168号にも具体的な構造があります。金属製だと熱伝導率高いので可燃性を防ぐ目的のものを用いる必要があります。


第三十八條 (煙突の隔離距離)
金属製煙突ハ木材其ノ他ノ燃質材料ト五寸以上ノ間隔ヲ有スヘシ但シ厚三寸以上ヲ有スル金属以外ノ不燃材料ヲ以テ被覆スルトキハ此ノ限ニ在ラス
第38条
金属製煙突は木材その他の燃質材料と5寸(15cm)以上の間隔をもつこと。ただし厚さ3寸(9cm)以上を有する金属以外の不燃材料をもって被覆するときはこの限りでない。
これも建築基準法施行令第115条1項3号ロとほぼ同じです。

第三十九條 (煙突についての命令)
地方長官ハ煙突ニシテ近接道築物ニ危害ヲ及ホス處アリト認ムルトキハ前數條ノ外必要ナル措置ヲ命スルコトヲ得
第39条
地方長官は煙突が近接建築物に危害を及ぼす恐れがあると認めたときは、前数条の他、必要な措置を命ずることができる。
なぜに、第35条から第39条までをまとめなかったのでしょうか??
同じ煙突なら、そのほうが都合いいでしょうに。

第四十條 (営業用煙突の高さ)
汽罐、營業用風呂竃其ノ他多量ノ燃料ヲ使用スル設備ニ附属スル煙突ノ高ニ付テハ其ノ燃料ノ種類、量及土地ノ状況ニ依リ地方長官之ヲ定ム
第40条
ボイラー、営業用浴場釜その他多量の燃料を使用する設備に付属する煙突の高さについては、その燃料の種類、量及び土地の状況により地方長官はこれを定めることが出来る。
現行法では、昭和56年住指発第166号による扱いがあるので参考までに。

第四十一篠 (営業用煙突の設備規定)
汽罐、風呂竈ノ類ノ焚場及灰捨場ニ對シ地方長官防火上必要ナル構造設備ヲ命スルコトヲ得
第41条
ボイラー、風呂釜の類の焚き場及び灰捨て場に対し地方長官は防火条必要な構造設備を命じることが出来る。

第四十二條 (避雷設備)
高六十五尺ヲ超過スル建築物ニハ適當ナル避雷設備ヲ爲スヘシ
第42条
高さ65尺(19.5m)を超過する建築物には適当な避雷設備を設けること
建築基準法施行令第129条の14では、20mなので、当時とほぼ同じですね。

第四十三條 (耐火構造とすべき規模)
高六十五尺軒高五十尺ヲ超過スル建築物ハ其ノ壁體、床、柱、屋根、階段等主要構造部
ヲ耐火構造ト爲スヘシ
第43条
高さ65尺(19.5m)軒高50尺(15m)を超過する建築物はその壁、床、柱、屋根、階段等主要構造部を耐火構造とすること。
現行法では用途、階数などで細かく規定されていますが、当時は高さのみのようです。大雑把なような気がします。
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