市街地建築物法施行令

市街地建築法施行令

現代文へ訳します
市街地建築物法
市街地建築物法施行令
戦時特例
市街地建築物法施行規則
第1章
通則
第2章
建築物の突出部
第3章
構造設備
第1節
一般構造設備
第2節
構造強度

第1〜第4
構造強度
第5〜第7
第4章
第5章
第6章
市街地建築物法施行細則
東京都
大阪府
京都府
神奈川県
愛知県
兵庫県

第1條 (住居地域内の禁止用途)
建築物左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ住居地域内ニ之ヲ建築スルコトヲ得ズ但シ第一号乃至第四号ニ該当スル建築物ニシテ行政官庁住居ノ安寧ヲ害スル虚ナシト認ムルモノ又ハ公益上己ムヲ得ズト認ムルモノハ此ノ限ニ在ラズ
住居地域内には次の用途のものは建築することはできない。ただし、一号から四号に該当する建築物で行政が住居地域にふさわしいと認めた場合はこれに限らない。

常時使用スル原動機馬力数ノ合計3ヲ超過スル工場
常時3馬力以上の原動機を使用する工場 
1馬力=0.736Kwなので、2.2Kw以上ですね。

左ニ褐グル事業ヲ営ム工場
次の事業を営む工場
ここに記載されている内容は市街地建築物法改正後のもので、当初は別途施行規則により定められていました。
イ 玩具用普通火工品ノ製造 がん具用花火の製造工場
ロ 「アセチレンガス」ヲ用フル金属ノ工作(溶解「アセチレンガス」ヲ用フルモノヲ除ク) アセチレンガスを用いて金属加工をする工場
ハ 引火性溶剤ヲ用フル「ドライクリーニング」又ハ「ドライダイング」(ら) ドライダイングって何でしょう?意味不明です。ネットで検索しても判らなかったです。ダイングだから死んでるの?ということはミイラ製造業?
ニ 「セルロイド」ノ加熱加工又ハ鋸機ヲ用フル加工 セルロイドとは最近あまり見かけませんですね。
ホ 印刷用「インキ」又ハ繪具ノ製造 インク、絵の具の製造工場
ヘ 塗料ノ吹付
卜 亞硫酸「ガス」ヲ用フル物品ノ漂白 ガスを利用する漂白工事
チ 骨炭其ノ他動物質炭ノ製造 骨炭などの動物性活性炭、ろ過材の製造工場
り 羽又ハ毛ノ洗滌、染色又ハ漂白 毛・羽の漂白、染色工場
ヌ 襤褸、屑綿、屑紙、屑絲、屑毛ノ類ノ消毒、選別、洗滌又ハ漂白 襤褸(らんる)、クズわた、クズかみ、クズいと、などの消毒、洗浄漂白工場
ル 製綿、古綿ノ再製、起毛、反毛又ハ「フエルト」ノ製造ニシテ原動機ヲ用フルモノ 綿の再生してフェルトなどに加工場で原動機を使用する工場
ヲ 骨、角、牙、蹄、貝殻ノ挽割若ハ乾燥研磨又ハ金属ノ乾燥研磨ニシテ原動機ヲ用フルモノ 骨や貝殻類の研磨加工工場
ワ 鉱物、岩石、土砂、硫黄、金属、硝子、煉瓦、陶磁器、骨又ハ貝殻ノ粉砕ニシテ原動機ヲ用フルモノ
カ 墨、懐炉灰又ハ煉炭ノ製造 墨、カイロ灰、練炭の製造工場
ヨ 活字又ハ金属工藝品ノ製造 活字又は金属工芸品製造
活字製造ってところが時代を感じます。
タ 瓦、煉瓦、土器類、陶磁器、人造砥石、坩堝又ハ琺瑯鉄器ノ製造
レ 硝子ノ製造又ハ砂吹
ソ 動力槌ヲ用フル鍛冶 動力を使わない昔ながらの鍛冶屋なら住居地域でも可能と解釈できますね。
三号 
室面積ノ合計50平方メートルヲ超過スル自動車ノ車庫

床面積50m2を超える自動車車庫
四号
劇場、活動写眞館、演藝場又ハ観物場

劇場、映画館など。活動写真館など、時代を感じますね。
で、ここまでの用途なら許可次第で住居地域でも建築可能でした。
五号
待合又ハ貸座敷
待合や貸座敷などは現代ではピンときませんが、これは風俗営業です。
この時代はハッキリした売春行為が黙認されていました。
六号 
倉庫業ヲ営ム倉庫
倉庫業を営む倉庫
七号 
火葬場又ハ産穢物処理場
火葬場はわかりますが、産穢って解りますか?「さんえ」と読みます。
文字で連想するように出産時に出たものを処理する場所ということです。
八号 
屠場又ハ死畜処理場
九号 
塵芥又ハ汚物ノ処理場
十号 
前各号ニ掲グルモノヲ除クノ外行政官庁住居ノ安寧ヲ害スル虜アリト認メ命令ヲ以テ指定スルモノ
8号9号は説明の必要ありませんね。
10号についても行政が生活を害する恐れがあると認めた場合は不可とする。これも当然です。


第2條(商業地域内の禁止用途)
建築物左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ商業地域内ニ之ヲ建築スルコトヲ得ズ但シ第一号又ハ第ニ号ニ該当スル建築物ニシテ行政官庁商業ノ利便ヲ害スル虜ナシト認ムノレモノ又ハ公益上已ムヲ得ズト認ムルモノハ此ノ限ニ在ラズ
商業地域で建築することが出来ないものは次のものである。ただし、第一号又は第二号は利便等支障がなければ行政許可を得ることが出来る。
一号
常時使用スル原動機馬力数ノ合計15ヲ超過スル工場但シ日刊新聞印刷所ヲ除ク
15馬力ですから0.736kw×15=11.04kwになります。
但し書きで新聞社の印刷工場は除かれていますね。
ニ号 
前條第ニ号ニ該当スルモノ但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル事業ヲ用フルモノヲ除ク
  容量30リットル以下ノ「アセチレンガス」発生器ヲ用フル金属ノ工作
馬力数ノ合計0.25以下ノ原動機ヲ用フル塗料ノ吹付
原動機ヲ使用スル2台以下の研磨機ニ依ル金属ノ乾燥研磨
前條第七号乃至第九号ニ該当スルモノ
前条第二号に該当するもの(住居系住居地域で禁止されている工場など)
イ  30リットル以下のガスを用いるので、少量ですね。
0.25馬力以下ですから0.2Kw 程度以下の原動機ですから、かなり小さいですね。
前条第7号から第9号に該当するもの
火葬場、屠場、廃棄物処理場などです。
三号 
前各号ニ褐グルモノヲ除クノ外行政官庁商業ノ利便ヲ害スル虞アリ卜認メ命令ヲ以テ指定スルモノ
行政が利便を害するおそれがあると判断すれば命令を発し、指定出来る。
基本的に商業地域は主としての用途が事務、問屋、小売商店、劇場その他の娯楽用建築物、警察署、消防署、郵便局その他雑種の商業に使用する建築物の規定がある。
工場等の制限は、その他規定により床面積の合計の1/4以上は製造工場に使用することはできません。又、製造工場を用途とする場合であっても無害安全なものに限られています。
実は、ここに書かれている条文、大正時代には第1号から第3号までは次のように書かれていた。

1 建築物左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ商業地域内ニ之ヲ建築スルコトヲ得ス
一 常時五十人以上の職工ヲ使用スル工場又ハ常時使用スル原動機馬力数ノ合計十を超過スル工場但シ日刊新聞印刷所及行政官 商業の利便ヲ害スル虞ナシト認ムルモノ又ハ公益上己ムヲ得スト認ムルモノハ此ノ限ニ在ラズ

当初は常時50人以上又は原動機10馬力数でした。緩和されたようです。
又は軍需関係で緩和する必要があったのかもしれません。


第3條 (工業地域内にのみ許される用途)
1 建築物左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ工業地域内ニ非ザレバ之ヲ建築スルコトヲ得ズ但シ第一号、第ニ号又ハ第四号ニ該当スル建築物ニシテ行政官庁衛生上有害ノ若ハ保安上危険ノ虞ナシト認ムルモノ又ハ公益上己ムヲ得ズト認ムルモノハ此ノ限ニ在ラズ
以下の各号に該当するときは工場地域内でなければ建築することは出来ない。
ただし、第一号、第二号、第四号に該当し、建築物にて行政が害がないと認めたときはこれに限らない。
一 
常時使用スル原動機馬力数ノ合計50ヲ超過スル工場、但シ印刷工場、精密機器製作工場、製氷工場及冷凍工場ヲ除ク
常時使用原動機出力が50馬力を超える工場。ただし、印刷工場、精密機器制作、製氷工場、冷凍工場は除く。
ニ 
左ニ褐グル事業ヲ営ム工場
イ 
銃砲火藥類取締法ノ火藥類ノ製造
銃砲火薬類取締法の火薬製造
ロ 
塩素酸塩類、過塩素酸塩類、硝酸塩類、黄燐、赤燐、硫化燐、金属「カリウム」、金属「ナトリウム」、「マグネシウム」、過酸化水素水、過酸化「カリ」過酸化「ソーダ」、過酸化「バリウム」、ニ硫化炭素、「メタノール」、「アルコール」「エーテル」、「アセトン」、醋酸「エステル」類、「ニトロセルローズ」、「ベンゾール」、「トルオール」、「キシロール」、「ピクリン」酸、「ビクリン」酸塩類、「テレビン」油又ハ石油類ノ製造
これは解説無くても判ると思います。
要は可燃・反応性危険物の製造ですね。
ハ 
燐寸ノ製造
マッチの製造
ニ 
「セルロイド」ノ製造
セルロイドは可燃性があります。
ホ 
「ニトロセルローズ」製品ノ製造
ニトロセルロースは塗料原料に使われることもあるが、火薬原料としても使用され、非常に可燃性が強い
へ 
「ビスコース」製品ノ製造
ビスコースは当時、人造絹糸と言われたレーヨンの原料である。
ト 
合成染料若ハ其ノ中間物、顔料又ハ塗料ノ製造(漆又ハ水性塗料ノ製造ヲ除ク)
この染料は水性系塗料は除かれている。溶剤系塗料と判断される。
チ 
溶剤ヲ用フル「ゴム」製品又ハ芳香油ノ製造
これも溶剤を用いる製品製造となっている。
リ 
乾燥油又ハ溶剤ヲ用フル擬皮紙布又ハ防水紙布ノ製造
ヌ 
溶剤ヲ用フル塗料ノ加熱乾燥又ハ焼付
ル 
石炭「ガス」類又ハ「コークス」の製造
ヲ 
圧縮「ガス」又ハ液体「ガス」ノ製造(製氷又ハ冷凍ヲ目的トスルモノヲ除ク)
冷媒ガスを除くガス製造。
ワ 
塩素、「ブロム」、「ヨード」、硫黄、塩化硫黄、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、苛性「カリ」、苛性「ソーダ」、「アンモニア」水、炭酸「カリ」、洗濯「ソーダ」、「ソーダ」灰、晒粉、次硝酸蒼鉛、亞硫酸塩類、「チオ」硫酸塩類、砒素化合物、「バリウム」化合物、鉛化合物、銅化合物、水銀化合物、「シアン」化合物、「クロロホルム」、四塩化炭素、「ホルマリン」、「ズルホナール」、「グリセリン」、「イヒチオールズルホン」酸「アンモン」、醋酸、石炭酸、安息香酸、「タンニン」酸、「アセトアニリド」、「アスピリン」又ハ「グアヤコール」ノ製造
これも反応性可燃物と毒物である。
力 
蛋白質ノ加水分解ニ依ル製品ノ製造
タンパク加水分解物とは、「味の素」などの人工調味料のこと。
ヨ 
油脂ノ採取又ハ加熱加工
これは動物性・植物性油脂の加工工場です。
夕 
石鹸、「フアクチス」又ハ「ベークライト」ノ製造
ファクチスとは加硫油のこと。「フアクチス」では検索ヒットしません。
一般にゴムを作るのに使用します。
ベークライトはフェノール樹脂ですからプラスチック系加工に使用されます。
レ 肥料ノ製造
ソ 製紙
ツ 製革、製膠又ハ毛皮若ハ骨ノ精製 革、ニカワ、毛皮はわかりますが、骨もですか・・・
ネ 「アスファルト」ノ精製
ナ 「アスファルト」、「コールタール」、木「タール」、石油蒸溜産物又ハ其ノ残渣ヲ原料トスル製造
ラ 「セメント」、石膏、消石灰、生石灰又ハ「カーバイト」ノ製造 特に説明は不要でしょうが、これらは臭い、粉塵、可燃爆発の危険性があるものです。
生石灰の熱反応などは取り扱い次第では火災の可能性もあります。
ム 金属ノ溶融又ハ精練(活字又ハ金属工藝品ノ製造ヲ目的トスルモノヲ除ク) 活版用。工芸品を除く金属精製工場です。
ウ 電氣用「カーボン」ノ製造 電気用カーボンとは、モーターなどでは必需品です。
日曜大工でモーター類を扱ったことがあるなら、消耗部品なのでわかると思います。
ヰ 金属厚板又ハ形鋼ノ工作ニシテ鋲打又ハ填隙作業ヲ伴フモノ 一般に鉄工所のことですね。最近は鋲打ちは珍しいですが。
ノ 鉄釘類又ハ鋼球ノ製造 釘はわかりますが、鋼球とは、一般にベアリングのことです。
オ 伸線、伸管又ハ「ロール」ヲ用フル金属ノ圧延 これらは、一般に大規模な製鋼所です。小規模な町の鍛冶屋は含まれません。
三号 
前号ニ掲グルモノヲ除クノ外行政庁衛生有害ノ又ハ保安上危険ノ虜アリト認メ命令ヲ以テ指定スル事業ヲ営ム工場

前号を除く行政が有害又は保安上危険な恐れがあると認めて指定する事業を営む工場
四号 
第ニ号イ、ロ、ハ、ニ及ヲノ物品、可燃性「ガス」又ハ「カーバイト」ノ貯蔵又ハ処理ニ供スルモノ

前号による可燃性物品の貯蔵及び処理に関する工場など
五号 
前号ニ褐グルモノヲ除クノ外行政官庁衛生上有害ノ又ハ保安上危険ノ虞アリト認メ命令ヲ以テ指定スル物品ノ貯蔵又ハ処理ニ供スルモノ


可燃性物品を除く行政が有害又は保安上危険な恐れがあると認めて指定されたものを貯蔵又は処理する工場など
第3條ノ2(不適格建築物ノ増、改、再築又は用途変更)
1 
前3條ノ規定ニ依り現在地ニ建築スルコトヲ得ザル種類ニ属スル建築物ハ行政官ノ許可ヲ受ケ左記各号ニ規定スル制限内ニ於テ増築、改築、再築又ハ用途ノ変更ヲ爲スコトヲ妨ゲズ
前3条の規定(住宅・商業・工業地域内の規定)により現存する建築物に属する建築物は行政の許可を受け以下の各号に規定する制限内において増築、改築、用途変更をすることを認める
再築って現在の建築基準法にはありませんね?
当時の建築用語集によると、
「建物を取り壊した後へ略々同様の建物を建てること。」市街地建築物法上の解釈では、火災其の他の不可効力の原因により滅失したる建物を大体原型に復旧する行為をいう。とある。

何故「不可抗力」の場合がわざわざ定義されているのか不明です。
一号 
建築物ハ敷地ヲ拡張セザルコト
敷地の拡張
ニ号 
建築物ノ増築、改築、再築又ハ用途ノ変更ニ因り増加スベキ建築面積ハ現在地ニ建築スルコトヲ得ザルニ至リタル際現ニ存在スル建築物ノ建築面積ノ2分ノ1ヲ超過セザルコト

建築物の増築、改築、再築、用途変更にて増加する建築面積は既存部分の2分の1を超えてはならない
これも現在の基準法にはありません。
三号 
建築物ノ増築、改築、再築又ハ変更ニ因リ増加スベキ,床面積ハ現在地ニ建築スルコトヲ得ザルニ至リタル際現ニ存在スル建築物ノ床面積ヲ超過セザルコト


建築物の増築、改築、再築、用途変更にて増加する床面積は既存部分の床面積を超えてはならない
これも現在の基準法にはありません。
四号 
工場ノ常時使用スル原動機馬力数ヲ増加スル場合ニ於テ増加スベキ馬力数ハ現在地ニ建築スルコトヲ得ザルニ至リタル際常時使用スル馬力合計数ヲ超過セザルコト

工場で、常時使用する原動機の出力を増加する場合において、増加する出力は、その建物用途にて許可された出力合計を超えてはならない
五号 
前号ニ褐グルモノヲ除クノ外用途ノ変更ニ付テハ現在地ニ建築スルコトヲ得ザルニ至リタル際現ニ存在スル建築物ノ用途ニ類似スル用途又ハ設備ヲ変更セズ若ハ之ニ些少ノ変更ヲ加フルニ依り営ムコトヲ得ル用途ニ限ルコト

前号に掲げるものを除く用途変更については現在地に許可された建物用途に類似する用途又は設備を変更せず若干の変更程度に留める用途に限ること
2 
行攻官庁地域ノ種別、上地ノ状況、事業ノ種類、作業ノ方法、建築物ノ構造設備、除害ノ設備又ハ装置等ヲ参酌シ特ニ支障ナシト認ムルモノニ付テハ前項第ニ号乃至第四号ノ制限ヲ軽減スルコトヲ得

行政が地域の種別、敷地の状況、事業の種別、作業方法、建築物の構造及び設備などで特に支障がないと認めるものについては前項第2号から第4号(面積の規定から出力の制限規定)の制限を軽減することができる
3 
第26條ノ規定ニ依り建築ノ許可ヲ受ケタル建築物ハ前2項ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ現在地ニ建築スルコトヲ得ザルニ至リタル際現ニ存在スル建築物卜看倣ス
第26条の規定とは市街地建築法第18条による、用途地域が変更した場合などのこと。現在の建築基準法でいう既存不適格建築物のことで、地域が変わった場合でも現在地に建築許可を得た際に存在する建築物とみなす

第4條(地域による高の制限)
1 建築物ノ高ハ住居地域内ニ於テハ六十五尺(20メートル)ヲ、住居地域外ニ於テハ百尺(31メートル)ヲ超過スルコトヲ得ズ但シ建築物ノ周圍ニ廣潤ナル公園、廣場、道路其ノ他ノ空地アル場合ニ於テ行政官庁交通上、衛生上及保安上支障ナシト認ムルトキハ此ノ限ニ在ラス


住居地域は高さ20m未満、住居地域以外では高さ31mを超えてはならない。但し建築物の周辺に公園、広場、道路その他空地がある場合で行政が交通上、衛生上及び保安上支障がないと認めた場合はこの限りでない。
第5條(構造による高の制限)
1 煉瓦造建築物、石造建築物ハ高六十五(20m)尺ヲ、木造建築物ハ高五十尺(15m)軒高三十八尺(11m)階數三ヲ、木骨煉瓦造建築物及木骨石造建築物ハ高三十六尺(10.5m)軒高二十六尺(7.8m)ヲ超過スルコトヲ得ス

後に下記のように改訂される
1 煉瓦造建築物、石造建築物及木造建築物ハ高13メートル、軒高9メートルヲ、木骨煉瓦造建築物及木骨石造建築物ハ高八メートル軒高5メートルヲ超過スルコトヲ得ズ
レンガ造、石造(組積造)、及び木造建築物は高さ13m、軒高9mを超えてはならない。木骨レンガ造、木骨石造は高さ8m、軒高5mを超えてはならない。
当初の大正期に高さ制限を設けたときの規定ではレンガ造、石造は20m、木造は15m軒高11mなど、規制は緩かったのだが、関東大震災以降、規制強化されて高さ制限が厳しくなっている。
2 
前項ノ石造ニハ人造石及「コンクリート」造ヲ木造ニハ土蔵造ヲ包含ス
前項の石造にはブロック造及び無筋コンクリート造を、木造には土蔵造りを含める。
3 
第1項ノ木骨煉瓦造建築物トハ厚三寸(後に10センチメートル)以上ノ煉瓦積ヲ以テ木骨ヲ被覆又ハ填充シテ外壁ヲ構成スルモノヲ謂ヒ木骨石造建築物トハ厚三寸(後に10センチメートル)以上ノ石、人造石又ハ「コンクリート」ヲ以テ木骨ヲ被覆又ハ填充シテ外壁ヲ構成スルモノヲ謂フ
第1項の木骨レンガ造建築物とは厚さ10cm以上のレンガ積みをもって木骨を被覆又は充填して外壁を構成するものをいい、木骨石造建築物とは厚さ10cm以上の石、ブロック又はコンクリートをもって木骨を被覆又は充填して外壁を構成するものをいう。
4 
1建築物ニシテ外壁2種以上ノ構造ヨリ成ルモニ付テハ第1項ノ規定ノ適用ニ関シ制限ノ最厳ナルモノニ依ル
1つの建築物で2種類以上の外壁で構成されるものについては第一項の規定に関して最も厳しいものを適用する。
つまり、木骨レンガ造を一部でも構成すれば高さ規定は最高で8mとすることになる。

第6條(高及び軒高の定義)
前2條ニ規定スル建築物ノ高トハ地盤面ヨリ建築物ノ最高部迄ノ高ヲ謂フ
前2条に規定する建築物の高さとは地盤面より建築物の最高部までの高さをいう
2 
前條第1項ノ軒高トハ地盤面ヨリ建築物ノ外壁上端迄ノ高、外壁上端ニ扶欄、扶壁又ハ軒蛇腹アルトキハ其ノ最高部迄ノ高、出軒ノ場合ニハ軒桁上端迄ノ高ヲ謂フ但シ切妻ノ部分ハ軒高ニ之ヲ算入セズ
前条第1項の軒高とは地盤面より建築物の外壁上端までの高さ、外壁上端に手すり、(扶欄とは手すりのこと)、パラペット(扶壁とはバットレスのような支壁も同じ意味だが、この場合はパラペットの立ち上がりを示す)軒蛇腹(これは軒先に石や銅板製で作成されたモール状の飾りのようなもの。コーニスなどと呼ばれる帯)あるときはその最高部の高さ、出軒(通常の軒先)の場合には軒桁上端までの高さをいう。ただし、切り妻の部分は軒高として算入しない。
モヤ、棟木などは軒高にはならない。
3 
前2項ノ地盤面ニ高低アルトキハ行政官庁其ノ地盤面ヲ認定ス
前2項の地盤面に高低差がある場合は行政が地盤面を認定する。
現在の建築基準法の取り扱いは明確なものがありますが、この時代は行政判断だったんですね。


第7條(前面道路の幅員による高の制限)
建築物各部分ノ高ハ其ノ部分ヨリ建築物ノ敷地ノ前面道路ノ対側境界線迄ノ水平距離ノ1倍4分ノ1ヲ超過スルコトヲ得ズ旦其ノ前面道路幅員1倍4分ノ1ニ8メートルヲ加ヘタルモノヲ限度トス但シ住居地域外ニ在ル建築物ニ付テハ1倍4分ノ1ヲ1倍2分ノ1トス
これは現在の道路斜線の扱いに近い。1倍4分ノ1とは1.25、道路斜線は8mを加えた範囲を限度とする。住居地域以外では斜線勾配は1.5とする。
2 
前項ノ高トハ前面道路ノ中央ヨリノ高ヲ謂フ


道路斜線の高さ道路中央の高さからをいう
第8條(幅員同じからざる2以上の道路に面する場合の高の制限)
建築物ノ敷地ガ幅員同ジカラザル2以上ノ道路ニ接スル場合ニ於テ1ノ道路ノ境界線迄ノ水平距離ガ其ノ道路幅員ノ1倍2分ノ1以内ニシテ且25メートル以内ノ区域ノ内ニ在ル建築物各部分ノ高ニ付テハ前條ノ規定ノ適用ニ関シ其ノ道路ヲ前面道路卜看做ス
幅員の異なる2以上の道路に接する場合、1つの道路の境界線までの水平距離がその道路幅員の1.5倍以内且つ25m以内の区域内にある建築物各部の高さについては、道路斜線については前条の規定を適用し、(住居地域内であっても住居地域以外の)道路とみなす。
ちなみに施行当初は25mは80尺となっていた。
現在の建築基準法は2Aかつ35m以内なので、昔のほうが厳しかったといえる。
2 
前項ノ規定ニ依ル前面道路2以上アル場合ニ於テ其ノ幅員同ジカラザルトキハ幅員小ナル前面道路ハ幅員最大ナル前面道路卜同一ノ幅員ヲ有スルモノト看做ス
前項の規定による前面道路2以上ある場合において幅員が同じでないときは、幅員の小さい前面道路は幅員の大きいほうの前面道路と同一の幅員を有するものとみなす。
3 
第1項ノ場合ニ於テ同項ニ規定スル区域ノ外ニ在ル建築物各部分ニ付テハ幅員最大ナル道路ヲ前面道路ト看做ス

第1項の場合、住居地域の規定外の敷地にある建築物については、最大幅員の道路を前面道路とみなす。
第9條(建築線が道路境界線と一致しない場合)
道路境界線ガ建築線卜一致セザル場合ニ於テハ道路境界線又ハ道路幅員ニ関スル前2條ノ規定ノ適用ニ関シ建築線ヲ其ノ道路境界線卜看做ス
道路境界線が建築線と一致しない場合には(これは道路に水平に建築物線を設けない場合)建築線を道路境界線とみなして道路斜線などの規定を適用する。
街並みの建築線を一致させるため、前2条他は道路線と一致させていたようです。

第10條(前3條の特例)
建築物ノ敷地左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ前3條ノ規定ニ拘ラズ行政官庁別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
一 公園、廣場、河、海ノ類ニ接スルトキ
ニ 前面道路ノ対側ニ公園、廣場、河、海ノ類アルトキ
三 其ノ地盤面卜前面道路ノ路面トノ高低ノ差著シキトキ
四 高低ノ差著シキ2以上ノ道路ニ接スルトキ
五 道路ノ終端ニ位スルトキ

道路高さによる制限の特例
以下の規定によるときは、行政は別途定めることができる。
1 公園、広場、河、海などに接するとき
2 前面道路の反対側に公園、広場、河、海などがあるとき
3 道路と地盤面に高低差があるとき
4 高低の差が著しい2以上の道路に接するとき
5 敷地が道路の終端に位置するとき
第11條 (空地の規定)
建築物ヲ建築スル場合ニ於ケル其ノ高又ハ其敷地内ニ存セシムヘキ空地に關シテハ地方ノ状況地及地域區ノ種別土地ノ状態、建築物ノ構造、前面道路ノ幅員等ヲ参酌シ勅命ヲ以テ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
建築物を建築する場合における高さ、敷地内にある空地に関しては地方の状況、地域区の種別、土地の状況、建築物の構造、前面道路の幅員等を考慮し必要な規定を設けることが出来る。
地方に決定権を与える条文だが、後に削除されている。

第12條(屋上突出物に対する高の制限の緩和)
煙突、棟飾、避雷針、旗竿、風見竿等建築物ノ屋上ニ突出スルモノノ高ハ建築物ノ高ニ之ヲ算入セズ
煙突、飾り棟、避雷針、旗竿、風見鶏などの装飾品が建築物の屋上に突出する場合の高さは算入しない
2 
装飾塔、物見塔、屋窓、昇降機塔、水槽等建築物ノ屋上ニ突出部ノ高ハ行政官庁命令ノ定ムル所ニ依り建築物ノ高ニ之ヲ算入セザルコトヲ得

装飾塔、物見塔、屋窓、昇降機塔、水槽等建築物の屋上に突出する部分の高さは、行政の定める判断により建築物の高さに算入されることがある。
第13條(特殊用途建築物の高の制限の除外)
本令中高ニ関スル規定ハ煙突、物見塔、扛重機、水槽、氣槽、無線電信用電柱ノ類及工業用建築物ニシテ行政官庁其ノ用途ニ依り己ムヲ得ズト認メ許可シタルモノニ付之ヲ適用セズ
本令の高さに関する規定は、煙突、物見塔、パンタグラフ、水槽類、無線用等電信柱及び工業用建築物で行政がその用途によりこれらに該当すると認め許可したものには適用しない。
扛重機とはパンタグラフジャッキのこと。
2 
本令中高ニ関スル規定ハ社寺建築物ニシテ行政官庁ノ許可ヲ受ケタルモノニ付之ヲ適用セズ

本令の高さに関する規定は、社寺建築物で行政の許可を受けたものについては、適用しない。
第14條(地域による空地制限)
建築物ノ建築面積ハ建築物ノ敷地ノ面積ニ対シ住居地域ニ於テハ十分ノ六、商業地域ニ於テハ十分ノ八、住居地域及商業地域外ニ於テハ十分ノ七ヲ超過スルコトヲ得ス但シ商業地域内ニ於テ行政官庁特ニ指定シタル角地其ノ他ノ区域ニ於ケル建築物ノ第一階及地階ニ付テハ此ノ限ニ在ラス

後に改正
 建築物ノ建築面積ハ建築物ノ敷地ノ面積ニ対シ商業地域内ニ於テハ10分ノ8、商業地域外ニ於テハ10分ノ6ヲ超過スルコトヲ得ズ但シ行政官庁特ニ指定シタル角地其ノ他ノ区域ニ於ケル建築物ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ

建築物の建築面積の敷地面積に対する割合(建ぺい率)は商業地域においては80%、商業地域以外においては60%を超過してはならない。ただし行政が指定した角地その他の区域における建築物についてはこれに限らない。
当初は住居地域60%商業地域80%工業地域やその他地域は70%でした。また、当初は1階及び地階については商業地域内にのみ角地緩和があったようですが、後にこの部分が削除されています。
オーバーハングなどの建物例が出てきたからでしょうか?
第14條ノ2 
主トシテ住居ノ用ニ供スル建築物ハ住居地域外ニ在ルモノト雖モ前項ノ規定ノ適用ニ關シ住居地域内ニ在ルモノト看做ス
住宅の用途であれば住居地域外にあるものといえども住居地域内にあるものとみなして建ぺい率を適用する。
これは後に削除されている。

第15條(建築面積及敷地面積の計測方法)
本令ニ於テ建築面積トハ建築物ノ水平断面ニ於ケル外壁ノ又ハ之ニ代ルベキ柱ノ中心線内面積中最大ナルモノヲ謂ウ但シ地階ニシテ其ノ外壁ノ高地盤面上2メートル以下ノモノノ部分ノ面積ハ之ヲ建築面積ト看做サズ
建築面積とは建築物の水平断面における外壁又はこれに代わる柱の中心線内面積中最大のものをいう。ただし地下にて外壁の高さが地盤面上2m以下のものの部分の面積はこれを建築面積とみなさない。
2 
軒、庇、桔出縁ノ類ガ前項ノ中心線ヨリ突出スルコト1メートルヲ超ユル場合ニ於テハ其ノ外端ヨリ1メートルヲ後退スル線ヲ以テ前項ノ中心線卜看做ス
軒、ひさし、はね出し縁の類が柱の中心線より1mを超える場合においては、外壁より1mを後退する線をもって中心線とみなす。
桔出縁(はねだしえん)
3 
第14條ノ建築物ノ敷地ノ面積トハ建築物ノ敷地ノ水平断面ノ面積中最大ナルモノヲ謂う


第14条の建築物の敷地の面積(建ぺい率の対象となる面積)とは建築物の敷地の水平断面の面積の最大のものをいう。
第16條(建築物の敷地の定義)
第七條、第八條、第十條、第十四條、前條及第十七條ノ建築物ノ敷地トハ一構ノ建築物ニ属スル一團ノ土地ヲ謂フ

後に以下に改正

本令ニ於テ建築物ノ敷地トハ一構ノ建築物ニ属スル一團ノ土地ヲ謂フ

建築物の敷地が2以上の地域又は地域にまたがる場合において、第1条から第3条(用途地域)もしくは第14条(建ぺい率)の規定又は住居専用地域、工業地域内特別地区、工業専用地区もしくは空地地区(すべて特例により定められた地区)に関する制限の適用に関しては最も厳しいものによる。ただし特別の事由がある場合において行政の許可を受けたときはこの限りにない。
第17條(損失を補償すべき場合)
市街地建築物法第18條第2項ノ規定ニ依り損失ヲ補償スベキ場合ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ限ル
市街地建築物法第18条第2項の規定により損失を補填すべき場合は以下に該当する場合に限る。
一号 
地域、住居専用地区、工業地域内特別地区又ハ工業専用地区ノ指定又ハ変更ニ基キ建築物ノ使用禁止又ハ建築物主要構造部ノ除却ヲ命ジタル場合
地域、住居地専用地区、工業地域内特別地区又は工業専用地区の指定又は変更にもとづき建築物の使用禁止又は建築物主要構造部の除却を命じた場合
ニ号 
美観地区ノ指定又ハ変更ニ基キ建築物主要構造部ノ除却ヲ命ジタル場合
美観地区の指定又は変更にもとづき建築物主要構造部の除却を命じた場合
三号 
建築線ノ指定又ハ変更ニ基キ建築物主要構造部ノ除去ヲ命ジタル場合
建築線の指定又は変更にもとづき建築物主要構造部の除却を命じた場合
四号 
建築線ニ面スル建築物ノ壁面ノ位置ノ指定ニ基キ建築物主要構造部ノ変更又ハ除去ヲ命ジタル場合
建築線に面する建築物の壁面の位置の指定にもとづき建築物主要構造部の変更又は除却を命じた場合
五号 
建築物ノ高又ハ建築物ノ敷地内ニ存セシムベキ空地ニ関スル規定ニ基キ建築物主要構造部ノ除却ヲ命ジタル場合

建築物の高さ又は建築物の敷地内に必要な空間に関する規定にもとづき建築物主要構造部の除却を命じた場合
第18條(補償すべき範囲)
市街地建築物法第18條第2項ノ規定ニ依リ補償スベキ損失ハ通常生ズベキ損失ニ限ル

市街地建築物法第18条第2項の規定に依り補償すべき損失は通常生ずべき損失に限る
第19條(損失を請求し得る期間)
前2條ノ規定ニ依ル損失補償ノ請求ハ市街地建築物法第18條第1項ノ措置ヲ命ゼラレタル者之ヲ命ゼラレタル日ヨリ起算シ3月内ニ之ヲ爲スコトヲ得

前2条の規定による損失補償の請求は措置を命ぜられた日より起算して3ヶ月とする。
第20條(補償の責に任ずる公共團体)
1 市街地建築物法第18條第2項ノ公共團体トハ同法第23條ノ規定ニ依ル同法適用区域ノ属スル市区町村トス

市街地建築物法第18条第2項の公共団体とは同法第23条の規定に依る同法適用区域の属する市区町村とする。
第21條(補償裁定機関)
補償義務ノ有無及補償ノ金額ハ補償審査会之ヲ裁定ス

補償義務の有無及び補償の金額は補償審査会の裁定とする
第22條(補償審査会)
補償審査会ハ第20條ニ規定スル市街地建築物法第18條第2項ノ公共團体毎ニ之ヲ置ク
補償審査会は第20条に規定する公共団体毎にこれを置く
2 
補償審査会ハ会長1人及委員12人ヲ以テ之ヲ組織ス

補償審査会は会長1人及び委員12人をもってこれを組織する。
第23條(補償審査会の構成)
1 会長ハ地方長官ヲ以テ之ニ充ツ
2 委員ハ左ニ褐グル者ヲ以テ之ニ充ツ
一 関係各庁高等官  4人
ニ 前條第1項ノ公共團体ノ吏員  2人
三 前号ノ公共團体ノ識会ノ議員 4人
四 学識経験アル者  2人
3 前項第一号、第ニ号及第四号ノ委員ハ主務大臣之ヲ命ジ第三号ノ委員ハ其ノ議会ニ於テ之ヲ選挙ス



会長は地方長官を充てる

委員は以下に掲げるものを充てる
1号
関係各庁の高等官 4人
2号
前条第1項の公共団体(補償審査会)のもの 2人
3号
前号の公共団体の識会の議員 4人
4号
学識経験者 2人

前項第1号、第2号及び第4号の委員は大臣の命じたもの。第3号の委員は補償審査委員会において選挙をする

第24條(補償審査会の実施)
1 補償審査会ニ関シテハ土地收用法第27條乃至第31條、第37條、第39條、第40條第1項、第2項、第42條乃至第45條、第69條、第72條及第83條ノ規定ヲ準用ス
2 第22條第1項ノ公共團体ノ2以上ニ亘ル建築物ニ関シテハ関係補償審査会合同シテ会議ヲ開クベシ


補償審査会に関しては、土地収用法第27条から第31条、第37条、第39条、第40条第1項、第2項、第42条から第45条、第69条、第72条及び第83条の規定を準用する
2項
第22条第1項の公共団体の2以上にわたる建築物に関しては、関係補償審査会は合同して会議を開くこと

第25條(建築工事中及び有設計建築物に対する準用)
1 市街地建築物法第18條ノ規定ハ建築工事中ノ建築物及建築工事ニ着工セザルモ設計アル建築物ニ之ヲ準用ス


市街地建築物法第18条の規定は、建築工事中の建築物及び建築工事に着工していないが設計がある建築物に適用する
第26條(建築工事中及び有設計建築物の許可)
1 行政官庁ハ建築工事中ノ建築物又ハ建築工事ニ着工セザルモ設計アル建築物ニシテ其ノ建築竣成ノ後ニ於テ市街地建築物法第18條第1項ノ規定ニ依ル措置ヲ命ズル必要ナシト認ムルモノニ付テハ其ノ建築ヲ許可スルコトヲ得

建築工事着工中又は建築工事に着工していないが設計がある建築物で建築竣工後に市街地建築法18条第1項に規定による措置(用途が変更する又は指定内容が変更する)を命じる必要なしと認めるものは建築の許可をすることとする。
第26條ノ2(擁壁)
1 建築物ノ敷地ヲ造成スル爲ニスル擁壁ニ対シテハ市街地建築物法第9條、第12條、第15條及至第22條及第25條ノ規定ヲ準用ス

建築物の敷地を造成するためにするよう壁に対しては市街地建築物法第9条、第12条、第15条から第22条まで、および第25条の規定を準用する。
第27條(法を適用しない建築物)
1 市街地建築物法ハ國宝保存法又ハ史跡名勝天然紀念物保存法ノ適用ヲ受クル建築物ニ付之ヲ適用セズ

市街地建築物法は国宝保存法又は史跡名勝天然記念物保存法の適用を受ける建築物については適用しない。
第28條(法の一部を適用しない建築物)
1 左ノ各号ノ一ニ該当スル建築物ニシテ行政官庁支障ナシト認ムルモノニ対シテハ市街地建築物法第8條、第9條及第11條ノ規定ヲ適用セザルコトヲ得
一 鳥居、形像、紀念門、紀念塔ノ類
ニ 交通信号塔、公共便所ノ類
ニ 陸橋ノ類
四 地下停車場ノ類
五 高架工作物内ニ設クル倉庫、店舗ノ類


以下の各号に該当する建築物にて行政が支障ないと認めるものについては市街地建築物法第8条、第9条及び第11条の規定を適用しなければならない
1 鳥居、形像、記念門、記念塔の類
2 信号塔、公衆便所
3 陸橋の類
4 地下駐車場の類
5 高架工作物内に設ける倉庫、店舗の類(高架下の店舗倉庫など)

第29條(仮設建築物)
1 博覧会建築物、観覧場、飾塔、足代、桟橋其ノ他ノ假設建築物ニシテ行政官庁支障ナシト認ムルモノニ対シテハ市街地建築物法第2條乃至第6條、第9條及第11條ノ規定ヲ適用セザルコトヲ得


博覧会建築物、観覧場、飾塔、足場桟橋その他の仮設建築物で行政が支障ないと認めるものに対しては市街地建築物法第2条から第6条、第9条および第11条の規定を適用しない。
第30條(市街地建築物法の道路)
幅員4メートル未滿2.7メートル以上ノ道路ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノハ之ヲ市街地建築物法ノ道路卜看做ス
一 行政官庁市街地ノ状況ニ依り特ニ指定シタルモノ
ニ 土地区画整理設計又ハ行政官庁ノ指定シタル建築線ニ基キ築造セラレタルモノ
2 
幅員4メートル以上ノ道路ノ新設又ハ変更ノ計画アル場合ニ於テ行政官庁其ノ計画ヲ告示シタルトキハ其ノ計画ノ道路ハ之ヲ市街地建築物法ノ道路卜看做ス

幅員4m未満2.7m以上の道路で下記の各号に該当するものは市街地建築物法の道路とみなす。
一号
行政庁が市街地の状況により特に指定したもの
二号
土地区画整理設計又は行政庁の指定した建築線に基づき築造されたもの
2項
幅員4m以上の道路の新設又は変更の計画がある場合において行政庁がその計画を告示したときはその計画の道路は市街地建築物法の道路とみなす。
第30条は昭和になってからの改正により4mとなるのだが、当初は9尺(2.7m)道路だったので移行するために新たに追加された条文である。防災活動の観点からこのようになるのだが、2項にあるように国としては4m道路を推奨しているようです。

附則 本令ハ市街地建築物法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス(大正9年12月1日ヨリ施行)
附則 本令ハ公布ノヨリ之ヲ施行ス(大正12年8月30日 勅令第395号)
附則 本令ハ大正13年7月1日ヨリ之ヲ施行ス(大正13年6月10日勅令第152号)
附則 本令ハ國宝保存法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
(國賓保存法ハ昭和4年7月1日ヨリ施行ス)(昭和4年6月29日勅令第213号)
附則 本令ハ昭和7年2月1日ヨリ施行ス(昭和6年12月26日勅令第294号)
附則 本令ハ昭和9年法律第46号施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
(昭和10年2月1日ヨリ施行)
  大正9年勅令第540号ハ之ヲ廃止ス(昭和9年12月24日勅令第340号)
附則 本令ハ昭和13年法律第29号施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
(昭和14年2月1日ヨリ施行)(昭和14年1月9日勅令第11号)
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